
障がいの有無や年齢、性別、国籍に関係なく子どもたちが安全に楽しく遊べる「インクルーシブ遊具」。中信地方でも導入する自治体が増えています。松本、安曇野市と池田町を紹介します。
★松本市
アルプス公園(蟻ケ崎)の「子供冒険広場」に今年3月、「ベッドジャンパー」が設置されました。人気の岩山滑り台やフィールドアスレチックなどの遊具がある場所で、芝生に置かれた3メートル四方の白いマットレスのような外観が目を引きます。
一般的な弾む遊具は、大きい子どもが跳ねると、その振動が一緒に乗っている周囲に伝わり、小さい子や寝そべって遊びたい子には危険が及ぶこともあります。しかし、この遊具は特殊な構造により振動が周囲に伝わりにくく、それぞれが安心して楽しめます。高さも約30センチと低いので、小さい子どもも乗り降りしやすく、車いすからの移動もスムーズです。
2歳6カ月の息子と来た夫婦(横浜市)は「この遊具は初めて体験した。ジャンプが大好きなので、年上の子と一緒に跳ねても怖くないのがいいです」と話していました。
市は来年度を目標に、あがたの森、芳川、庄内、惣社、倭(梓川)などの公園、身体障がい者用駐車場と多目的トイレを備えた公園を中心に、順次インクルーシブ遊具を導入していく予定といいます。
★安曇野市
今年3月、3連ブランコと円盤型遊具を豊科南部総合公園(豊科高家)に設置しました。遊具の選定に当たっては、昨年5月にANCアリーナ(同)で「インクルーシブ遊具体験会」を実施。16基の遊具を市民に体験してもらい、その人気投票の結果を基に決めました。
二つのブランコには姿勢をサポートするハーネスや背もたれが付いており、低年齢の子どもや体幹の弱い子どもでも安心して揺れを楽しめます。UFOのような円盤型遊具は、2人同時に乗ったり寝そべったりと自由な楽しみ方ができ、休日には順番待ちの列ができるほどの人気です。
市内から訪れた女の子(5)は「いすごと揺れてるみたいで楽しかった」と話していました。
かじかの里公園(穂高北穂高)には、地域の保育園などに行ったアンケートで要望の多かった複合遊具や、触って音や色を楽しめるパネル型遊具を5月に設置。防災広場(豊科南穂高)にもブランコ型遊具が設置される予定です。
★池田町
昨年、池田保育園(池田)にジャングルジムや繭のような形状のコクーン=写真右下=など3点を導入。音を吸収する素材で作られた屋内用は、落ち着きを取り戻す空間として利用されています。
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設置には周囲に十分なスペースが必要だったり、遊具自体が海外製が多く高価だったりと導入には課題もありますが、遊具の更新に合わせて、すべての子どもたちが安心して楽しく遊べるよう配慮されたインクルーシブ遊具が広がることを願います。