
一瞬の「いい顔」残す感動を
犬や猫のうるうるした瞳や笑顔、首をかしげるしぐさ─。動物好きならキュンとする一瞬だ。ましてや自分の愛犬、愛猫ならなおさらだ。そんな愛くるしい表情を、自宅など飼い主やペットがリラックスできる場所に出張し、写真に収めてくれる“ドッグ写真家”がいる。
犬の写真館「pooch and(プーチアンド)」(安曇野市三郷温)のオーナーでフォトグラファーの佐藤幸平さん(36)と、プロデュースを担当する妻の美奈さん(35)だ。
長年写真と向き合ってきた幸平さん。犬猫に囲まれて育った美奈さん。幸平さんのカメラの技術、美奈さんのコミュニケーション能力、動物との触れ合い方─。犬の写真館は、二人が互いを尊重して選んだ究極の仕事だ。
夫婦の特技が相乗効果生む
ドッグフォト「poochand」。「ワンちゃんと」という意味で、佐藤幸平さん、美奈さん夫妻の出張専門の写真館だ。自宅など犬たちがリラックスできる場所で、ありのままの自然な表情を捉えることをモットーとしている。
依頼が入れば、被写体の性格、好み、生活習慣などを、細かく時間をかけてヒアリングする。撮影時は、背景布、照明など機材一式を持ち、撮影場所へ向かう。好きなおもちゃを使ったり、名前を呼んだりしながら、美奈さんが犬のベストな表情を引き出す。その瞬間、幸平さんがシャッターを切る。
幸平さんは新潟県出身。18歳の時に写真を始め、東京の大学では写真サークルに所属した。21歳で中退してからも、アルバイトの傍ら写真を撮り続けた。
美奈さんは、子どもの頃から犬や猫に囲まれて育った。看護師として松本市や東京都内の病院で働いたが、東京での生活はストレスが大きかった。松本に戻った後、「好きなことをしよう」と、大型犬種ラブラドール・レトリバーの「ディライト」を飼い始めた。
美奈さんが東京に遊びに行った際、幸平さんと知り合った。2018年に幸平さんが松本市に移住、翌年結婚した。犬にはあまり興味がなかったという幸平さんだが、ディライトと出合い、すっかり犬好きに変わった。
幸平さんは当初、配送の仕事の傍ら、趣味で家族や犬の写真を撮っていた。美奈さんが作品をインスタグラムにアップ。投稿した写真の中から美奈さんや子ども、ディライトや家族となった保護犬アースの「いい顔」を選び、幸平さんがプリントして額装、花束と共に結婚記念日に美奈さんにプレゼントする。「とてもうれしい」と美奈さん。その思いが写真館を立ち上げる原点となった。
美奈さんもフリーペーパーの仕事で写真を担当した経験があり、写真の力は知っていた。「自分がもらった感動を他の人にも伝えられたら」
二人の長所や特技が相乗効果を生み、犬への愛情は十分過ぎるほど。友人から犬を含めた家族写真を依頼されたことも自信になり、昨年の結婚記念日に写真館を立ち上げた。
美奈さんはジャパンケネルクラブ(JKC)公認愛犬飼育管理士の資格も取得。撮影現場では犬が気まぐれだったり、数が多かったりと困難も多いが、“ドッグファースト”を掲げてストレスフリーの撮影を心がける。
「一瞬のかわいさを大切に、今を写真に残しては」と美奈さん。幸平さんは「質の高い写真を撮りたい。いろいろな犬に出合えるのも楽しい」と話す。
猫やウサギといったペットや、子どもの写真も手がける。1万5千円(撮影料1匹、A4判プリント1枚、画像データ10枚)~。イベント会場での撮影は3千円~。問い合わせはメール(pooch.and.photo@gmail.com)か=インスタグラム=のダイレクトメッセージで。