
見た目は真っ白、雪山のようなかき氷が運ばれてきた。一見、「映(ば)えない」印象だが…。実は、掘るとすごいんです!
大町市内四つの菓子店、飲食店がそれぞれ開発した「信濃おおまち雪下(ゆきした)かき氷」の販売が、6月20日から各店で始まった。同市の清らかな水資源をPRし、まちの魅力をかき氷で表現する、ユニークな取り組みだ。
同市に工場がある「サントリー天然水〈北アルプス〉」を使った氷を削り、外観は白銀の北アルプスをイメージした。別添えのソースをかけ、スプーンで掘って食べ進めると、現れるのは多彩な地元産の具材。宝探しのようなわくわく感、自分で完成させる楽しさもある。大町の魅力を“発掘”できるかき氷にしようと、各店が腕を振るった。
「掘ると見つかる大町の魅力」
「掘ると見つかる大町の魅力」をテーマに開発された、「信濃おおまち雪下かき氷」。取り組みを進めるのは、水を生かした持続可能なまちづくりの実現に産学官金の連携で取り組む、大町市の「信濃おおまちみずのわプロジェクト」。同市の豊かな水の魅力の具現化に知恵を絞り、水を食材と捉えた特産品を開発している。
かき氷に焦点を当てるのは、東京で専門店を開く堀尾美穂さんがオリジナルレシピを考案し、2023年から市内店舗で提供が始まった「そばとこおり」に続く第2弾。今回は、大町産の氷を使い、真っ白な外観にソースは後がけ、氷の中に大町産の食材や大町の魅力を表現する何かを埋めること|を統一コンセプトに、かき氷の提供実績がある店を含む市内4店舗がそれぞれに考案し、認定を受けた。
参加店は、コンディトライ・アン・マリーレ、ねまるちゃテラス、ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん(以上平)、Cake&Cafe立田屋(大町)。ポン菓子や甘酒、牛乳、豆腐、蜂蜜、ソバの実、凍り餅、果物などの地元産食材に、ひと手間を加えて食感や風味を際立たせ、氷との相性や他の食材のとのバランスを熟慮。徐々に氷が解けてもおいしく食べられる工夫も凝らした。後がけソースで色や味の変化も楽しめる。店の個性を打ち出した。
地元経済の活性化にもつなげようと、高付加価値・高価格帯のメニューと位置づけ、1200~1500円(各店で異なる)。9月30日まで、4店で提供する(店により事前予約が必要)。
◇
開発アドバイザーを務める白澤朋子さんは、ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよんの製菓責任者。「スイーツに近い高価格帯のかき氷は話題で、掘ったら魅力が分かるという着眼点が面白い」とした上で、「真っ白な状態で提供するのは、最初の見た目から喜ばせたい作り手側の感覚とは、逆の発想。各店とも苦労したと思う」。作り手の創意工夫に感心していた。
「まずは、氷そのもののおいしさを味わってから食べ進めてほしい」と白澤さん。少量でも種類豊富な食材に恵まれた地域性を踏まえ、「豊富にある食材を組み合わせれば、かき氷のアレンジの幅は無限大」と今後の広がりを展望する。
「サントリー天然水北アルプス信濃の森工場」(常盤)によると、超軟水の天然水を使った氷は、素材の味を邪魔せず引き出す特長があるという。小山泰弘工場長は「おいしい氷、地元の食材と各店のパティシエらの腕前が融合したら、とてもクリエーティビティー(創造性)の高いものができるのでは」と期待した。
詳細は公式ウェブサイト から。プロジェクト事務局(大町市企画財政課)℡0261・22・0420