【ガンズリポート】スタジアム外でもチームのために 山雅サポーターの力

松本山雅FCがスタジアム外で上々の結果を出した。サポーターが環境に配慮した活動をしてポイントを得る「サステナカップ」でJリーグ60クラブ中3位。運営会社が企画した、子どもの観戦に使う携行型いす購入のクラウドファンディング(CF)は、目標額を超える支援が集まった。いずれもサポーターの力が効いた。

「サステナカップ」3位
熱心な発信で賞金獲得

6月29日まで約1カ月間開催されたサステナカップ(JリーグとNTT主催)は、参加者が応援するクラブを決め、スマートフォンに専用アプリをインストール。マイボトルを持ち歩くといった課題(クエスト)をクリアして投稿すると、応援するクラブにポイントが入る仕組みだった。
クエストには各クラブ独自の企画もあり、山雅は6月21日のホーム試合・鹿児島ユナイテッドFC戦で、ごみの分別収集で設定し、収集場所を増やしたり、担当スタッフが呼びかけたりした。
参加した山雅サポーター歴10年以上という古屋力さん(58、安曇野市)は「(人口が多い)都会のクラブに負けたくない。順位が気になり、チェックするのが日課になった」という。
山雅は予選リーグ(5月31日~6月22日)をJ3首位で通過し、15クラブで争った決勝リーグ(同23~29日)は終盤に順位を上げた。1位はJ1新潟、2位はJ2札幌だった。
「熱心なサポーターがSNSで発信し続けてくれて参加者が広がり、最後は一体感があった。これを機に普段の生活でも環境を意識してもらえれば」と、山雅運営会社の担当・ボアンポン賢さん(25)。賞金110万円は環境関連の取り組みに使い、サポーターにも還元するようにしたいという。

子どもの観戦用いすCF
意見ヒントに目標達成

子どもの観戦用の携行型いすをサンプロアルウィンに備えるためのCFは207万円が集まり、6~7脚の購入が決まった。滑り出しは支援が限られたが、選択肢を工夫すると一気に増えた。サポーターの意見がヒントになったという。
CFは、サンアルの観客席から撤去された座席を4本脚に作り直したいすをリターン(返礼品)に、1口7万7千円で支援を募った。24口184万円が集まれば成立し、携行型いす5脚を購入するというものだった。
5月26日に募集を始めたが、最初の数週間は5口ほどの応募にとどまった。「(1口が)高い」「何人かで協力したいが、リターンを誰が受け取るかで困る」─。サポーターの声が、悩む担当者の耳に聞こえてきた。
そこで支援の選択肢を増やした。まずリターンのいすを受け取らず、寄付するという選択肢。寄付先は信州大附属病院や図書館など、公的機関4カ所にした。さらに1口3千円の選択肢を加え、25口集まると、さきほどの4カ所のいずれかにリターンが送られる仕組みにした。
新たな選択肢は6月19日に公開。1週間ほどで目標額に届き、最終日の同30日までに164人が参加した。運営会社の曽根原克朗業務サポート部長(49)は「うまくいっていない時にたくさんの方が関わってくれ、いったん歯車が回り出すと早かった。山雅サポーターの力を改めて感じた」と感謝した。