
松本市のまつもと市民芸術館(深志3)で今月前半、立て続けに子ども向けイベントが開かれる。今週末はコンサートで、来週末が映画祭。どちらも、子どもが楽しく過ごせるよう、内容だけでなく運営面でも工夫する。夏の家族の思い出に本格的な芸術体験を|と主催者たちは呼びかけている。
5日「はじめまして!」
子どもも安心の環境で演奏会
5日に開かれるのはコンサートの「はじめまして!」。副題に「0歳からお年寄りまで」とうたい、音楽や楽器、芸術館に初めて触れる体験を楽しんでもらうのがテーマだ。
昨年4月に続く2回目で、前回来場者の感想を生かし、特に子どもを意識して内容や運営を構成した。
演奏曲は、クラシックのサン・サーンス「動物の謝肉祭」があれば、子ども番組から生まれた「ぼよよん行進曲」も。同館芸術監督団の石丸幹二さんを中心に、飽きさせないようバランスを考えて選曲したという。
コンサートでは芸術監督3人が勢ぞろい。石丸さんは歌、倉田翠さんはダンス、木ノ下裕一さんは曲の解説と、それぞれ専門分野で一流のパフォーマンスや知見を披露する。
ホール内は、子どもが安心できるように照明を明るく設定。前方の席は子どもやその保護者に限定した。「より近くで生の音を聴いてほしい」という石丸さんのアイデアだ。
それでもホールから出たくなっても大丈夫だ。演奏中の出入りは自由とし、外には中の様子を映すモニターが設置される。授乳やおむつ替えができるスペースも用意される。
同館主ホールの演奏会となるとかしこまって聴くものだが、この日ばかりは例外。「赤ちゃんが泣いても気にしませんという状況をみんなでつくって、音楽を体で感じ、楽しんでほしい」と担当者は話す。
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午前11時開演。全席指定で、一般3500円、25歳以下2千円、小学生以下千円。チケットセンターTEL0263・33・2200

12日「子どもたちの映画祭」
大画面映像から多彩な体験を
12日は「子どもたちの映画祭」。こちらも、初めて大スクリーンで映画に出合う体験を楽しんでもらおうと趣向を凝らす。
上映は午前と午後の入れ替え制で、国内外の短編アニメ4作品ずつ=詳細はこちら。午後には、今年の米アカデミー賞候補作「あめだま」が登場する。
主催する松本映画祭プロジェクトの河西佳代マーチャンダイザーは「他の子と大きなスクリーンで見て、楽しさ、怖さを一緒に感じる感覚を体験しながら見てほしい」と話す。
体感の場は映画の他にもたっぷり。作品の合間にはステージで合唱があったり、アーバンスポーツの体験会が開かれたりする。
さらにホール外にはブースがずらり。今年は夏開催となり、「子ども縁日」をテーマににぎわいを演出する。
出展の目玉の一つはデジタル関連。デバイスを駆使してアニメーターの郷津春奈さんとアニメ作りをしたり、簡易スタジオで松本市を舞台にしたメタバース空間「ばーちゃるまつもと」に入り込む体験をしたりできる。
上映作品の舞台にちなんで熊本県の物産市が立ち、PRキャラクター「くまモン」が来場して盛り上げる。
河西さんは「子どもたちにとって、映画デビューした日が家族みんなとの楽しい思い出と結びついて記憶に残ればいい」と話す。
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午前9時45分開場。上映開始は、午前の部10時半、午後の部2時。S席前売り大人1400円、子ども(18歳未満)700円。同プロジェクトTEL0263・35・2810