
木祖村薮原にインバウンド向けの宿泊施設「WAKU↑WAKU BASE中山道薮原宿」がオープンした。代表の安原文祥さん(45、小木曽)が手がける“遊べる宿”の第2弾。経営者の高齢化で宿泊施設がなくなった地域を元気にしようと、空き家を改装し、日本文化を楽しんでもらう趣向にした。
旧中山道の薮原宿にある空き家だった民家を改装。玄関の壁紙や1階の居間には浮世絵を施し、アニメ「鬼滅の刃」の衣装や道具を置き撮影スポットにした。
民家に残っていた、げたやたんすをはじめ、華道具、茶道具と関連書籍、神棚や仏壇など、日本文化を体験できる備品はそのまま設置。1棟貸しで8人まで利用できる。
安原さんは村役場を退職し2019年、村内にログハウスを建て、「缶詰バル」の居酒屋を開いた。新形態の店とあり住民に好評だったが、コロナ禍で売り上げが減少した。
経営回復のために、居酒屋は1日1組の完全予約制にし、貸し切り型のグランピング施設をオープン。予約に応じてレイアウトを変えて営業した。テラスでのバーベキューや、施設内に100種類以上のボードゲームなどをそろえた“遊べる施設”に。宿泊特典として村内の道の駅や酒蔵などで使えるサービスも用意している。
アイデア満載の仕掛けでログハウス施設の利用は回復。一方、コロナが明け観光客が復活しても、薮原地区は高齢化などの後継者不足で宿泊施設の休業が相次ぎ、素通りされてしまう課題が表面化した。安原さんは新しい宿の開業を決意、古民家を活用することに。いずれの宿泊施設も村の補助金を活用した。
「お客さんがわくわくできる場所をつくり、村での滞在を喜んでもらえたら」。8月には茅野市の白樺湖近くで、空きアパートを改装したホテルを開業する計画も進めている。WAKU↑WAKU BASEの詳細は公式ホームページ。