山が結ぶ縁と恵みに感謝 愛好家「山と自然に親しむ会」 鷲ケ峰登山に同行

松本地域の中高年を中心とした登山愛好家でつくる「山と自然に親しむ会」は、月に2、3回、県内各地でハイキングや登山、山スキーなど幅広い活動をしている。普段、会わない人と登ったり、山を通じた縁ができたりするのも楽しみの一つ。7月6日、同会の鷲ケ(わしが)峰(みね)登山に同行し、楽しさを共有した。
鷲ケ峰は霧ケ峰高原の西端にあり、標高は1798メートル。登るのに苦し過ぎず、楽過ぎず、ちょうどいい山だという。
この日の参加者は50~80代の15人。和田峠登山口で「ラジオ体操から始めます」の合図で体をほぐし、午前8時15分に出発。小まめに休憩を取りながら上り下りを繰り返す。途中、蓼科山や八ケ岳連峰、美ケ原などの景色を眺めながら片道約2キロの行程を進んだ。
最後の急な上り坂を克服して10時10分、山頂に到着。360度の眺望に「これが登山の楽しみ」と話したり、偶然、現れた彩雲(虹のように色づいて見える雲)に「縁起がいい。山が歓迎してくれたのかな」と言って撮影したり。
こうして絶景空間を満喫する一方、会員たちは雲の流れを観察して天気を予測。危機管理も怠らなかった。
昼食後は、自己紹介を兼ねたゲームで交流し、新入会員から30年以上のベテランが、和やかな雰囲気で過ごした。
山頂滞在1時間ほどで下山。車で八島湿原(下諏訪町)に移動し、ニッコウキスゲなどを眺めながら約1時間、散策を楽しんだ。午後2時半過ぎに帰路に就いた。
この日の最高齢だった工藤元彦さん(84、安曇野市堀金烏川)は1週間前、一人で8時間の山行をしてきた。「今日は楽だった」と余裕の表情。「会の登山は普段、会わない人と一緒に登れるのが楽しい」と笑顔を見せた。
同会は1990年に設立。現在の会員は70人。毎年、2月に入会説明会を開き、4月から新年度の活動を始める。コロナ禍で新規募集を休止していたが数年前から再開し、今年は例年の倍の19人が入会した。
山の計画は、事前に会員から募ったリクエストを参考に幹事会で話し合って年間計画を決めている。今年は、新会員歓迎山行として風越山(飯田市)登山や地図読み講習会なども行い、7月末には3泊4日で北アルプス雲ノ平登山を計画。会員は自身の体力に合った山行に参加している。
また、毎月1回発行している会報は8月で400号に。活動紹介から山登りの知識まで充実の内容で、36年間積み重ねてきた会の重みを感じる。
設立当初からの会員、大塚千代子さん(75、松本市中央2)は、「山がさまざまなご縁を結んでくれ、一生の友人もできた。だから長く続けられた」と感謝する。
会長の戸澤和人さん(70、安曇野市穂高)は、「ツアーとは違った、皆でつくり上げている山行。これまで無事故だったのが誇り。これからも安全第一で楽しく活動していきたい」と力を込めた。
途中入会も可能。