
PK1点守り白星
松本山雅FCは、34歳のMF馬渡和彰がピッチを縦横無尽に駆け回ってPKを獲得し、自ら決めた。チームはこの1点を守り切り、前節のAC長野パルセイロ戦の完敗を引きずらず、今季初めてホームで2連勝した。
ベテラン馬渡らしさ前面に気迫のプレー
馬渡は昨季終了後に両膝を手術し、リハビリを経て9カ月ぶりの先発だった。「自分らしさを忘れず、いろんなポジションに顔を出し、アクセントをつくる」。それをキックオフから実践した。
与えられた中盤の左翼から、右へ前へと機を捉えて飛び出した。前半16分、ゴール右前でパスを受ける。折り返しは惜しくもGKに阻まれた。PKを得たのはその約4分後。縦パスに走り込み、相手DFのファウルを誘った。
積極的なプレーの裏には危機感があった。「先発で使っても全然ダメじゃん|となったら、すぐに(控えに)戻される」
気迫はポジションを争うライバルにも伝わった。後半早々に右脚の違和感で退いたが、代わった23歳のMF樋口大輝は「もうポジションを取らせないぞ─みたいな雰囲気を感じた。負けないように切磋琢磨(せっさたくま)しながらやっていければいい」と口元を引き締めた。
馬渡の自在な動きは、同じサイドのMF菊井悠介の献身的なカバーがあったからこそだ。そのバランスを意識しつつ、「結果が出たら良いもの(連係)になってくる。プレーには責任が付いてくるが、(指導陣は)大枠を守れば主体性を持ってやっていいという感じだから」と馬渡。シーズン半ば、ベテランのエゴがチームを活性化させるか。