不登校と向き合い40年 山形村の元教諭・百瀬敬子さん書籍出版

つらい思いを抱える人たちの心に少しでも光が差せば─。そんな思いを込めた「不登校の先に見える光を」(芙貴出版社)が出版された。書籍は2冊で、1巻は「学校が辛(つら)くなってしまった子どもたち」、2巻は「アドラー心理学で支える親子の“新しい一歩”」だ。
著者は元教諭で、不登校親の会「モモの会」代表、アドラー心理学カウンセラーや認定子育てハッピーアドバイザーなど多くの資格を持ち、不登校の課題に40年向き合ってきた百瀬敬子さん(75、山形村下竹田)。不登校の背景には「学校や家庭がその子にとって安心できる場所になっていない根本的な要因がある」と指摘する。
書籍化の話はこれまでもあったが、関わった人たちは深い悩みやデリケートな問題を抱える人も多く、「傷つけてしまうかもしれない」と断ってきた。しかし、大変な思いをした人たちもその後みんな元気になり「不登校は克服できる」と確信が持てたことや、「その姿を悩んでいる人たちに伝えたい」という思いなどから出版を決めたという。
1巻は教師時代も含めて自身が関わったさまざまな事例を挙げ、親や教師の接し方や努力などを通じ、変化していく子や家族のその後などを紹介。つらい思いを抱えている教師の姿や、周りの大人ができる声がけ、支援などにも触れている。
2巻はアドラー心理学の考え方を基に、「課題の分離」と「勇気づけ」を通して信頼関係が生まれ、自己肯定感が育ち生きる力につながっていくこと、不適切な行動の奥にある子どもの思いと、それに対する向き合い方などを説明。不登校に直面すると、特別な方法や即効性のある解決策を探しがちだが、「本当に大切なのは日々の中にあるささやかな関わりの積み重ね」とアドバイスする。
1巻188ページ、2巻190ページ。各1650円。県内の書店で販売。