木曽町の創作和食店「肥田亭」テヅカ精機が異業種から挑戦 地域課題をプラスに

電子部品製造などのテヅカ精機(木曽町日義)が、創作和食店「肥田(ひだ)亭」(同町福島)を開店して2カ月がたった。満席の日が多く、10月の予約も好調だ。旧中山道福島宿の面影が残る「上の段」地区にあり、昨年11月に閉店し空き家だった店に異業種から挑戦、地域の活性化にも期待がかかる。
肥田亭は町の第三セクター・まちづくり木曽福島(現在は解散)が運営していた。築100年以上の趣ある建物で、いろりも残る。
観光エリアで和食店が空き家になり、インバウンド観光客の食事場所がなくなることが、地域のデメリットになることを考え、手塚良太社長(39)が開店を決意。メニューや家具類を一新した。
料理は、帝国ホテル大阪(大阪市)などの勤務経験がある小園希美シェフ(36)が担当。フレンチの技法を使った和食に木曽産食材や郷土料理も取り入れる。コース料理はランチ4950円、ディナー8800円から。アラカルトメニューもあり、地酒や信州産ワインも充実させた。
英語が話せるスタッフも常駐し、ビーガン(完全菜食主義者)にも対応。現在、地元客3割、郡外客7割で、同店で食事をするため町内に宿泊する客もいるという。
同社は1976(昭和51)年創業。2代目の手塚社長は2018年に就任した。雇用の受け皿を広げる狙いもあり、建設、住宅設備、クリーニングの各事業部を立ち上げ、売上高を就任時の20倍以上(グループ全体)に伸ばした。今後は宿泊事業なども視野に入れていく。
入社前は名古屋市でバンドの音楽活動をしていた手塚社長。当時の人脈が新しい仕事にもつながっている。「木曽はいい資源を持っている一方、後継者不足で廃業も増えている。地域課題をビジネスに変えていきたい」
昼は午前11時~午後2時、夜は5~10時。水曜定休(不定休あり)。肥田亭TEL0264・24・0383