
全身のバランスが取れた筋肉美を競う「女子フィジーク」。大谷(おおや)玲子さん(51、松本市井川城2)は、昨年3月から、この競技を始め、出場した5大会で3度優勝するなど、快進撃を続けている。持ち前の根性に加え、体をつくる上で重要な食事も自己管理。目指すは「日本チャンピオン」だ。「遅咲き」の成長株は、大きな夢を追って、厳しいトレーニングに励んでいる。
女子フィジークは、筋肉の発達度合いや上下半身のバランス、脂肪の薄さなどを競う。かつての筋肉の大きさに特化した競技「女子ボディービル」が、2015年に名称を変更し、ルールも改定された。
大谷さんは、2回目の大会出場となった6月の金沢市オープンで優勝したのを皮切りに、同月の県選手権(塩尻市)、北陸甲信越選手権(福井県)でも優勝し、一躍、全国を目指す選手になった。
元々、体を動かすことは好きだが、「筋肉が付きやすい体質で、それが嫌だった」と大谷さん。転機は2024年夏。マラソン大会出場に向け、そのための体のメンテナンスで、パーソナルジム「カラダのメンテ」(松本市蟻ケ崎4)に通い始めたことだ。
ちまたは「筋トレブーム」。「試しに自分の筋肉を開放したら、どうなるか」という好奇心から、同ジムの副代表、百瀬優規さん(33)の指導で健康的な筋肉美で女性の美しさを競う「ビキニフィットネス」を始めた。
3カ月ですっかり体が変わった。「やればやっただけ筋肉が付き、楽しい。体が変わると気持ちもポジティブになる」と精神的にも変化し、何か嫌なことがあっても、「まっ、いいか。筋トレすれば」と思うように。当時はやった「筋肉は裏切らない」という言葉を実感したという。
穂高病院(安曇野市穂高)に、助産師として勤務。夜勤もしながら、空いた時間をトレーニングに充てる。大会前は週1回、それ以外は月1~2回、同ジムに通うほか、違うスポーツジムにも週3回ほど足を運ぶ。
身長156センチ。大会前は、限界まで体を絞り、体重は41~42キロで、体脂肪率は5%だ。こうした体をつくるため、トレーニングはもちろん、食事にもかなり気を使うかと思いきや、「料理することが大好きなので、揚げ物以外は普通に食べます。減量食とは思えないくらい健康的なメニューです」。
大会出場を目指したのは昨年8月。それから1年ちょっと。8月の日本マスターズ選手権50歳以上級では銅メダルを獲得。そして今は、12日に都内で開かれる国内最高峰の大会、日本選手権に照準を合わせている。「トップレベルしか出場しない大会。決勝に残れたら」としながら、「夢は日本チャンピオンになること」と言って、全身の筋肉に力を込めた。