
ゲームを通じ全国に交流広げて
60歳以上の参加者がeスポーツを通じて交流する初の「シニアeスポーツサミット2025」が12月6、7日、塩尻市で開かれる。主催は市振興公社。初日は地域DXセンターcore(コア)塩尻(大門一番町)と市市民交流センターえんぱーく(同)で競技があり、2日目は参加者が交流する観光ツアーを行う。全国からシニア世代の参加者を募っている。
eスポーツはコンピューターゲームを使った新しいスポーツとして、若者に人気がある。10月7日はcore塩尻で、サミットに向けた「特訓講座」があり、シニア14人が参加した。参加者たちはサミットの課題を練習。3人の講師からアドバイスを受けたり、仲間同士で応援し合ったりして、にぎやかに楽しみながら練習に励んだ。
認知機能向上へ市が開く教室も
塩尻市は、指先や脳を使うeスポーツが「記憶力や認知機能の向上につながる」として、介護予防やフレイル予防、地域コミュニティー形成などを目的に、2023年からシニア世代向けの教室を開いている。24年には鳥取県で開かれた全国健康福祉祭(ねんりんピック)に同教室から3人が県代表選手として出場、1人は個人戦で優勝した。
シニアサミットを想定した特訓講座は、9月から11月まで計10回行い、午前と午後の各部に計36人が参加する。サミットでプレーするゲーム「太鼓の達人」の、課題曲5曲を中心に練習。リズムに合わせ、両手で持ったばちで太鼓をたたくゲームで、全身を動かすため、かなりの運動量になる。参加者は各自の目標を設定して取り組んだ。
川根稔さん(79、広丘高出)は2年前にeスポーツをやっている高齢者を偶然見かけ、「なんだか楽しそうだな」と気軽な気持ちで教室に参加した。「腕の力や反射神経も身に付く」と、真剣な面持ちでゲームに集中していた。
昨年のねんりんピック個人戦優勝者、丸山洋さん(73、塩尻町)は「全国にはうまい人がたくさんいた」と実感。家での練習にも励んでいる。ゲームを通じた交流を大切にしており、教室の卒業生17人で「塩尻シニアeスポーツクラブ」も結成。交流が広がるサミット開催を喜んでいる。「全身を使うので認知症予防にもよさそう」と話す。
市振興公社は、18日から始まる今年のねんりんピック岐阜大会にeスポーツ種目がなかったことから、シニア世代の活躍や交流の場づくりを目的に、初のサミットを企画した。60歳以上なら誰でも参加でき、一般の見学も可能。「塩尻でeスポーツが盛り上がっているので“聖地”になれば」との願いもある。
既に愛知県から参加申し込みがあるほか、秋田県からシニアプロゲーミングチーム「マタギスナイパーズ」がゲストとして訪れる予定もある。
塩尻教室で講師を務める「Re.road(リロード)」(松本市)の室山桃子さん(25、塩尻市大門八番町)は、「学びたい、うまくなりたいという意欲がすごい」とシニア世代のエネルギーに驚きつつ、活動を手助けしている。
サミットで募っているのは、団体戦(3人一組)16チーム、個人戦48人。参加費無料。実施種目はニンテンドースイッチ版「太鼓の達人ドンダフルフェスティバル」。大会参加者向けのオプショナルツアー「思い出彩る、ワインと木曽漆器めぐり」では、市内の奈良井宿やワイナリーを訪れる、体験型の観光を企画している。大会スポンサーも募集している。
参加申し込みは10月31日までに、特設ページフォームからか郵送で。問い合わせは市振興公社℡0263・50・7960