
松本市横田のテニスインストラクター吉崎鶴代さん(75)が、1~11日に福岡市で開かれた第87回全日本ベテランテニス選手権の女子シングルス75歳以上の部で優勝した。68歳だった7年前に65歳以上の部を制し、県勢で初めて同大会シングルス優勝を果たして以来の快挙。「ほっとした」と笑顔で話した。
同大会の出場は6年ぶりだった。出なかったのはコロナ禍の影響で、他の大会からも遠ざかっていた。
この間、緊急経済対策で支給された1人10万円の特別定額給付金を練習機の購入に充て、個人練習に打ち込んだ。「テニスをやっているだけで楽しい」という気持ちがモチベーションとなった。
今も、早朝に自宅近くの市浅間温泉庭球公園に通うのが日課。ボールを打つ前にはランニングを欠かさない。体力づくりは50代から心がけ、筋力トレーニングも続ける。「おかげでけがなくやってこられた」という。
75歳以上の部で大会に復帰すると決め、今年4月、下位レベルの大会にエントリー。しのぎを削ってきた同年代には膝や股関節などを痛めて手術した選手も多く、久しぶりに対戦すると、「私は足腰がよく、走れたのが大きかった」。体力の利に技術の確かさが加わり、勝ち続けた。
「ブランクがあるので勝てないと思っていたのに、びっくり」。5月の大会も制した。
今月の全日本は、決勝で前年覇者との対戦に。「緊張で久しぶりにどきどきした」。第1セットを失った。「初心に戻って一つ一つプレーをしよう」と気持ちを切り替え、逆転勝利をもぎ取った。松本に帰ってきて、「友達の顔を見たら涙が出た」という。
「シングルスはこの優勝で十分。これからはダブルスに力を入れたい」。2012年に女子ダブルス60歳以上の部で全日本を制しており、再び同い年の牛山秀子さん(松本市)と一緒に頂点に立つのが目標だ。