信州美術発展に力 石井柏亭の軌跡たどる 松本市美術館で作品や資料展示12月7日まで

松本市に住み、信州美術発展の力となった画家・石井柏亭(はくてい)(1882~1958年)の作品展「戦後80年石井柏亭えがくよろこび」が、松本市美術館で12月7日まで開催中だ。初期から晩年までの代表作や資料などの展示を通じ、画業の全ぼうを伝えている。同美術館主催、MGプレスなど共催。
柏亭は東京生まれ。父・鼎湖(ていこ)から日本画を、浅井忠から洋画を学び、中央画壇で活躍していたが、戦時の疎開で松本に定住。信州の自然や人々を描くとともに、若手の育成や後に県展となる展覧会の開催に尽力するなど、戦後美術の発展に寄与した。
企画展では、おおむね柏亭の人生に沿って4章構成で作品を展示。終戦の年の梓川・奈良井川合流点付近を描いた「山河在」、レストランに集う人々を描いた「中信酒客」など、信州の自然や文化が存在感たっぷりに表現されている。
同館の小川稔館長は、内覧会のあいさつで「柏亭は日本の近代美術史の中で重要な役割を担った人。頭の中でつくったものでなく、実際に見たものを描いた」と解説した。
午前9時~午後5時(入館は4時半)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。問い合わせは同館TEL0263・39・7400