世界的名画も題材〝絵をまとう〟企画展 大町「麻倉」11月2日まで

芸術の秋、名画を“まとって”楽しく遊びませんかー。
大町市大町の「麻倉(あさぐら)Arts&Crafts」で、11月2日まで開催中の企画「絵を纏(まと)う」は、同市や近隣の作家11人・組が手がけた、世界的名画などを題材にしたインスタレーション(空間芸術)作品を展示。共通テーマの「まとう」を作家がそれぞれ解釈し、作品に関連した洋服や飾りを身に着ける、パネルに顔をはめるーなど、絵に絡めたり絵の世界に入ったりできる体験型作品13点が並ぶ。
地域のアートの拠点・麻倉に集う作家らが、「美術や芸術を身近に感じてほしい」と、誰もが毎日着る「服」に着目した企画。ひねりとユーモアにあふれた作品が、アートの世界へ楽しくいざなってくれる。

絵の中に入る体験 芸術身近に

「これ(トップス)とこれ(ボトムス)の組み合わせがかわいいんじゃない」。フランスの画家アンリ・マティスの作品に登場する女性服で、着せ替え遊びに興じる来場者。段ボールの表面に描かれた“洋服”は色も柄も豊富で、裏側は違うデザインのリバーシブルだ。体の正面に当て、作品の世界観を味わいながら写真に納まった。
同じマティスの「金魚」に着想した作品は、金魚の赤を基調とした服や装飾をまとい、絵の中の金魚に餌をあげたり、金魚の数を増やしたりできる。
スイス出身のドイツ人画家パウル・クレーの「ニーゼン山」に刺激を受けた作品もユニーク。三角形の山をイメージした手作りの青いマントと、麓の様子を表した四角い布のパッチワークのスカートを着用し、作品の中に入って写真を撮れる空間に仕上げた。
イタリア出身の画家アメデオ・モディリアニの「おさげ髪の少女」のオマージュ作品は、少女の顔部分に自分の顔をぴったりとはめられ、気分はすっかりモデルだ。
来場した大町市の槇野恵里さん(45)は「『まとう』ことに興味を引かれた。絵の中に入ってみると、地元作家たちの惜しみないアイデアと工夫を感じた」。安曇野市の石田悠真さん(29)は「体験することで絵への興味関心がそそられる。別の機会にこの絵を見たとき、今回の記憶と結びつくと思う」と話した。
服や画材の質感、作品全体で醸し出す空間の雰囲気なども、見る人の感性を刺激する。出展作家の一人、渡部朱美さん(大町市)は「わくわく感を楽しんで。子どもたちが遊びながら絵や作者に興味を持ってくれればうれしい」と期待している。
26日午後1時から手持ちの服に染色作家の端切れなどを縫って飾るワークショップ、11月1日午後1時から“自分が思う一張羅”で参加する「クロージングパーティー」がある。詳細は麻倉のインスタグラムから。
午前11時~午後5時(31日は7時)、月~水曜は休み。麻倉TEL0261・85・2139