【なないろキッズ】 #112 泣きにくくなる力

ちょっとしたことで泣いてしまうお子さんがいます。思い通りにいかないとき、誰かに否定的に言われたとき、失敗して恥ずかしいとき…。学校などでささいなことで泣いてしまうと、周囲も困ってしまうことがあります。そんな時、大人が「泣いても分からないよ」「泣きやんでお話ししてね」などとつい強い口調で言ってしまうことがあります。けれど、これは残念ながら逆効果です。
涙が出てしまうということは、感情のコントロールがまだ難しいようです。特に泣きやすい子は不安を感じやすく、繊細なタイプであることが多いものです。学校や家庭の生活の中で、予想外の出来事や人とのやりとりが重なって、心がいっぱいになっているのです。そんなときに強い口調で言われると、叱られたと感じて不安や恐怖がさらに増してしまいます。自分で涙を止めようと思っても止まるものではありません。
泣いている時は、まずその場から離れさせることが大切です。静かで人の少ない場所で落ち着きを取り戻せます。声をかけるときは、穏やかに。「ここで少し休もうか」と静かに促すだけで十分です。もし大人が焦って優しい声を出せそうにないときは、無理に言葉をかけず、そっと誘導するだけでかまいません。刺激を減らすことが何より大事です。
落ち着いた後で、同じようなことが起きた時にどうしたらいいか一緒に考えてみましょう。「嫌なことを言われたら大人に知らせる」「その場に大人がいなければメモに書いておく」など、具体的な方法を練習しておくといいでしょう。味方になってくれる大人がいると感じられることで、不安が軽減され、泣きにくくなります。
時には、助けを求めるサインとして泣いてしまう子もいます。その場合も、まずは落ち着けるよう誘導を優先し、泣きやんでからどうすればよかったかを一緒に考えます。厳しく接してアピールには答えないよという関わりよりも、「泣かなくても大丈夫な方法」を一緒に考えてもらう方が、お子さんがどの場面でも泣きにくくなる力を身に付けることにつながります。