
松本市中心部の大名町通りにある創業177年の老舗化粧品専門店「田立屋」(大手3)2階で10月31日まで、店の歴史を写真や昔の商品などでたどる「田立屋の歴史展」が開かれている。明治時代の松本の電話帳や大名町通りの写真も紹介するなど、街の歴史にも触れられる内容だ。
同店は江戸時代の嘉永元(1848)年に、かんざし、くし、おしろいなどを売る小間物商として、博労町(本庄1)で開業。廃藩置県により大名町が庶民に開放された明治6(1873)年、現在の地に移転した。
展示会場には、畳に客を上げて商品を見せる「座売り」をしていた明治30年ごろの土蔵の店舗から現店舗に至るまでの外観写真、くしやかんざしなどの商品、大正時代に扱っていた資生堂の化粧品などがずらり。
松本城下町の地図、明治30年代の大名町通りの商店地図、明治から大正にかけての縄手通りや四柱神社の写真、商店の組合員名簿など地元の歴史も伝える。
今展の開催は、大宮康彦社長が店に残る膨大な資料の中から、大正天皇の崩御を伝える当時の新聞紙面を見つけたことがきっかけ。「今年は昭和元年から100年目の節目の年。店や街の歴史を振り返るいい機会だと思った」と、店の177周年大創業祭(26日まで)に合わせて開いた。
展示は自由に見ることができる。大宮社長は「大名町で長く商いをさせてもらっている身として、その歴史を伝えることも使命だと感じる。見ていただけたらうれしい」と話す。
午前10時半~午後6時半。水曜定休。同店TEL0263・32・0057