【特集・馬と人~ともに歩んで~】目標は全日本ジュニア馬術大会―国産馬と組み障害競技に挑む松本の小6・中垣真歩さん

「馬が大好き」―。そんな少女の純粋な思いから、新しい物語が動き出した。信州大附属松本小学校6年生の中垣真歩さん(12、松本市城東)は、馬術競技を始めて1年目。今年は9歳の雄馬「スーパーカブ」と共に「全日本ジュニア障害馬術大会」への初出場を目指す。
馬術は人馬が一体となって技能などを競うスポーツ。中垣さんは初心者ながら、メンタル、技術共に抜群のセンスの持ち主だ。
コンビを組む馬は北海道産。欧州産が活躍する競技の世界で、国産の力を発揮していこうと選ばれた。信頼関係を築きながら全国への階段を一歩ずつ登っていく。

パートナー“カブ”と高みを目指す

練習は協会の馬場で、パートナーの馬・スーパーカブ(=以下カブ)の世話から始まる。体をブラッシングしたり、ひづめの間に入った土を取ったり。「お世話はとても楽しい」と笑顔を見せる。
準備が整うと、ふわりとくらにまたがりウオーミングアップ。周囲を数周歩き馬場へ。同協会の指導員・上野きりさん(26)の手ほどきで30分ほど、障害を跳び越す練習をした。しなやかに、軽やかに走り回る中垣さんとカブ。110㌢のバーを跳ぶために、カブが走りやすいリズムをつくることや、カブがどんな動きをしても真っすぐ乗れるような体のバランスを取ることなどが課題という。

もともと動物が好きだった中垣さん。小学1~3年生の時にクラスでヤギを飼っていたのがきっかけで、馬の動画も好んで見るようになった。
3年生の時、家族4人で信州スカイパークをサイクリングしていた折に、同協会の馬術場の前を通りかかり、馬を見かけた。「かわいいし、乗ってみるのも楽しそう」と、同協会所属の市スポーツ少年団に入った。
乗馬を楽しむ中垣さんを見た上野さんが「(中垣さんは)馬術センスの塊」と、才能を見いだした。コンビを組む馬との相性も大切になる。現在、競技で活躍するほとんどの馬は欧州産だが、国産馬ながら全国大会でも2年ほど活躍した経験があるカブが同じ頃、縁あって松本に来た。
性格は人懐こく障害物に立ち向かう勇気もあるが、乗り手に対して繊細な面もあるカブ。そんな難しい馬でも「中垣さんなら乗れる」と2025年秋、コンビを組むことになった。
障害競技を始めて半年ほどだが、成長は目覚ましく、同年11月には県馬術連盟主催の秋季馬術大会で入賞。公式種目に出場するためのB級ライセンス試験にも合格した。
秋に開かれる全日本ジュニア障害馬術大会の参加資格は、1シーズン中、異なる二つ以上の公認競技会の認定種目で総減点4以内で1回以上、総減点0で2回以上、完走していること。中垣さんは2月から本格的に参戦する。
元全日本ジュニアチャンピオンで選手としても活躍する上野さんは、中垣さんを「馬に対して誠実だし、練習中もよく考えながら動き、メンタルも強い。これらは競技で成長していく上でとても大切なこと」と期待を寄せる。
毎週末と平日夜、練習に通う。父の史哲さん(46)、母の英美さん(43)は「ここまで熱中できることに出合えたのは幸せ。とにかく楽しんでほしい」と見守る。
馬たちの社会的価値を高めることにも貢献しそうな挑戦に、「カブはすごく優しい馬。仲良くしていきたい」と中垣さん。澄んだ視線の先には、さまざまな景色が広がっている。

今年の干支の馬は古くから、人と関わりの深い動物でした。細くなったとはいえ、関係は続いています。現代のつながりをのぞいてみました。