
温泉といえば卵のイメージだが、焼き芋を販売している温泉施設がある。安曇野市の「安曇野しゃくなげの湯」(穂高有明)だ。床暖房用のボイラーの余熱を利用した省エネ焼き芋で、名前も「湯けむり蜜いも」。専用設備は使わず、松くい虫被害で伐採されたまきが燃料―など、経済、環境、地域資源の循環に配慮した焼き芋だ。
まきボイラーの燃焼部分下の灰受け皿が、焼き芋製造機に早変わり。新聞紙で包んだサツマイモを水でぬらし、汚れないようにアルミホイルで覆う。灰を取った後、1回に16~20本を並べる。おいしく作るこつはゆっくり焼くことといい、1時間半ほど入れる。でんぷんが糖に変わり、甘くねっとりとした食感に仕上がるという。
設備担当者がボイラーで芋を焼いているのを見たのがきっかけ。「熱を利用した商品になるのでは」と発案、試験的に焼いてみたところおいしく焼けたため、販売を決めた。現在は1日30本限定だが、毎日ほぼ完売する人気という。下里誠治設施支配人(66)は「とても甘くておいしいと好評。1人で7本買った人もいる」と話す。
新しいエネルギーを消費することなく、通常は大気に排出される余熱を再利用し、おいしい食べ物を生み出す―。サツマイモは近くの農産物直売施設Vif穂高(同市穂高有明)から仕入れるなど、地域とのつながりを大切にする。松くい虫被害木を燃料とする、サステナブル(持続可能)な「ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)」の取り組みだ。
完売が続けば1日の販売本数を40~50本に増やしたいという。温泉だけに、定番のゆで卵に取り組むことも検討しているといい、さらなる余熱利用の可能性を探る。
下里設施支配人は「施設の名物になればいい」と話している。
1本270円で、3月末まで販売の予定。午前9時半~午後9時半。毎月第1水曜日定休。TEL0263・88・4126