昔ながらの暮らしを 王滝の樋口菜摘さん自給自足と飲食業目指す

祖母のすんき受け継いで

王滝村の樋口菜摘さん(29)は、沖縄県の久米島から古里の木曽に戻り8カ月。空き家だった祖母の家を守りながら、村内の旅館などでアルバイトをして生活している。思い描くのは「昔の暮らしの豊かさ」。ゆくゆくは自給自足し、飲食の仕事もしたいと考えている。
同じ郡内の大桑村で生まれ、高校卒業後に千葉県内の動物専門学校に進んだ樋口さん。「日本の在来馬と働きたい」と、久米島馬牧場に就職し、在来馬8種の一つ「与那国馬」の世話に携わった。
祖父母が住んでいた王滝には、幼い頃から遊びにきていた。馬小屋があり木曽馬と暮らす様子や、祖母の二子さんが作ってくれる郷土食のおいしさなどに豊かさを感じてきた。
いつしか「王滝で木曽馬と一緒に暮らすのもいいかも」と思うように。温暖で海に囲まれ、好きな馬と働く久米島の暮らしも充実していたが、4年前に二子さんが亡くなり、自分を見つめ直した。「自給自足の暮らしで自立したい」と、久米島で出会った夫の昌義さん(38)と昨年7月に移住した。
そんな折、二子さんが残した、前年に漬けたすんきを冷凍保存した「すんきの種」と、県の「信州の伝統野菜」にもなっている「王滝かぶ」の種を見つけた。いずれも4年以上前のものだったが、その種から王滝かぶを栽培し、すんきも漬けてみたところうまくいき、二子さんの味を受け継いだ。
飲食業への足がかりは、久米島の南インドカレー店で教わったレシピ。昌義さんがカレーを作り、2月に2日間、村内の御嶽スキー場内のカフェで提供し、用意した60食が完売した。
二子さんの畑で野菜を育て、今年は田んぼを探し稲作も始めたいという。木曽馬を迎えるために貯金もする。「やり始めたことは点だけど、いつかつながって理想の暮らしができそう。おばあちゃんも喜んでくれているかな」