
各地のコメ品評会で受賞を重ねる松本、安曇野市の4事業者が集まり、「信州いただきます。」と名乗って活動し始めた。メンバーは栽培方法も規模も異なるが、「おいしさ」を追求する思いは共通する。中信産を内外にアピールしようと、同じ看板を掲げることにした。
一見、4者の取り合わせはちぐはぐだ。
会社組織の北清水(松本市島内)と宮澤ファーム(安曇野市三郷明盛)に、個人経営の細井ファーム(同市豊科南穂高)と、個人名義で活動する丸山敏光さん(38、松本市島内)。
農法は有機にこだわっていたり、先進技術の活用に熱心だったり。面積も数㌶からその10倍以上まである。
多様な農家たちを結びつけたのは、県内外の品評会だ。それぞれが受賞を重ねていて、だから互いのコメ作りの価値が分かる。「誰が受賞しても拍手できる」と北清水の清水久美子社長(48)。リスペクトする間柄だった。
4者の本年度受賞実績は、計9大会10部門に上る。だが、どの部門でも最高賞はなかった。「一番にはあとちょっと足りない」と丸山さん。多様な技術、経験を持ち寄る場をつくることにした。
グループ名には二つの意味を込めた。一つは「頂」。生産者の一番を目指す。
もう一つは、消費者とおいしさを「いただく」分かち合い。「この地域のコメのおいしさが伝わっていない」と細井正博さん(63)。4者がまとまって発信し、県内外で知名度を上げる狙いだ。
結成が「令和の米騒動」直後になったのはたまたまだという。ただ、消費者の関心が価格や供給量に偏っていることを考えると、「おいしさ」を前面に立てる意義を思わずにいられない。
大規模集約化で工業製品のようにコメを低コストで安定生産しようという議論になりがちな中、腕に覚えのある個性的な生産者が集まり、敬意をもって互いの良さを「いただきます」する場がある。消費者との共鳴に期待したい。(おわり)