
大町市の大町北部小学校5年・奥原京(けい)さん(10)は、昭和の後半や平成の頃にヒットした国内外の名曲やアーティストが好きで、歌やパフォーマンスのコピーを学校内や地域で披露している。その実力は、父の康弘さん(41)と「あずさ2号」をデュエットし、素人のど自慢大会で優勝するほど。同年代も大人たちも拍手喝采する。
将来の夢はミュージシャン
ある時は米ハードロックバンド「KISS」のポール・スタンレーさん、ある時はロックバンド「X JAPAN」のToshlさん、「氣志團」の綾小路翔さんらになりきり、再編前の大町西小内の特技発表のステージに何度も立った。弟で2年生の凪都(なつ)さん(7)と共演したこともある。
耳で聞いたメロディーを、すぐに鍵盤で弾ける「絶対音感」の持ち主。膝や胸などを手でたたき、ビートを刻む姿も様になっている。
ハイトーンボイスで「紅」(X JAPAN)などの難曲を歌いこなしたかと思えば、母の眸(ひとみ)さん(40)らが手作りする段ボール製のギターを、KISSがライブでやるように壊してみせる演出も。分かる世代の教職員だけでなく、児童らの目もくぎ付けにする。
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昨年3月、JR中央本線の特急「あずさ2号」復活の機運を高めようと、松本市で開かれた兄弟デュオ「狩人」のコンサートとヒット曲「あずさ2号」の素人のど自慢大会では、バンド経験がある父とステージに立った。
ホールを埋めた観衆を前に「京の歌い出しで始まるし、さびに入るタイミングが当日朝まで合わなかったし、不安だった」と康弘さん。ところが舞台上で横を見ると、しっかりとリズムを体で刻む息子が。眸さんは「本番が一番うまかった。引っ張っていたのは息子の方」。審査員も「声がすごくいい」と絶賛した。
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幼い頃に発達障がいの一つ、自閉スペクトラム症と診断された京さん。1歳の頃に星野源さんのヒット曲「恋」に夢中になり、この曲のダンスもまねて踊り、1歳半で星野さんのライブに家族と行くほどに。その後、テレビのものまね番組の影響で松山千春さんの曲に入れ込み、次第にビートルズやクイーン、マイケル・ジャクソンさん、斉藤和義さんらも好きになった。
将来の夢はミュージシャン。「どこでもいいから歌いたい。誰かに届くならそれでいい」という息子を、両親は「自分の表現方法として音楽が合っているのかも」と見守る。舞台に立つ際にメークを施したり、衣装を用意したりする眸さんは「好きなことはどんどんやればいい」と、全力でサポートする。