
大町市大町のアーケード街「大町名店街」。日曜、祝日などを除く毎日午前10時、アーケードの真ん中に集った人たちが、ラジオ体操に励んでいる。昨年12月に始まり、参加は誰でも可。顔ぶれは、障がい福祉サービス事業所の利用者、商店主、地域住民など多彩だ。「一緒に体操をするだけの毎日10分間」の継続が、さまざまな効果を生みつつある。
名店街にある就労継続支援B型事業所「共同作業所がんばりやさん」の店舗前付近が、体操の会場だ。16日午前10時前。長さ約150㍍のアーケード街のほぼ中央に、1人、2人と人が集まり、あいさつを交わす。同事業所の利用者が机やラジカセを出して準備。おなじみの音楽が流れると、約20人が体を動かした。
第1、第2体操を終えると出席カードに押印を受け、それぞれ職場などへ散っていった。
週4日ほど参加する、市内に移住し3年目の女性(67)は「顔なじみが増え、顔を見ないと寂しい。地域の情報も得られる」。名店街で長年、飲食店を営んだ川井孝子さん(86)は、坐骨神経痛緩和の運動を兼ねて参加し、「顔を合わせるだけでも元気になる」と話す。
「ラジオ体操が習慣の人、雨でもぬれない名店街を散歩コースにする人もいる。独居の人も会話が増え、介護予防につながる外出のきっかけになれば」と話すのは、同市北部地域包括支援センター保健師の三石亮介さん(32)。センターとがんばりやさん、大町名店街事業協同組合が共同で始めた取り組みだ。
出席カードのスタンプがたまれば、名店街で使える商品券と引き換える仕組みも考案。組合理事長の長澤哲士さん(65)は「名店街活性化にもつなげたい。商店主にとっても、普段使わない筋肉を動かす時間は大切」という。
がんばりやさんの利用者は、ラジカセなどの準備が日課になった。「役割や笑顔が増え、住民との会話も多くなった」とスタッフ。
約10分間のラジオ体操は、人をつなぎ、心の垣根を下げる時間だ。