【なないろキッズ】 #118 「過剰適応」を知ろう

不登校をきっかけに受診された発達障害の特性のあるお子さんは、長らく学校には普通に通っていたのに、ある時を境に急に学校に行けなくなったということがとてもよくあります。
発達障害の特性がある子どもたちにとって、学校生活は想像以上にハードルの高い場所です。教室のざわめきや給食のにおい、蛍光灯のまぶしさ、人が縦横無尽に動き、処理する情報量が多い…。こうしたことで感覚過敏のある子はそれだけでぐったり疲れてしまいます。
友達関係の難しさ、先生が代わるたびに違うルール、苦手な活動、並ぶ時間割、決まった時間ごとに切り替えてこなすこと、「いつ怒られるか分からない」という緊張感…。一つ一つは「なんとか我慢できること」かもしれませんが、それが毎日積み重なっていきます。
こうしたことを「過剰適応」と呼びます。外側では「普通」を演じながら、内側ではぎりぎりの無理を続けている状態です。子どもは無意識に「合わせなければ」という気持ちが強く、発達特性のある子は特につらさを言葉にするのが苦手です。だから周りはなかなか気づけない。そしてある日、エネルギーが完全に尽きて、突然動けなくなります。回復には長い時間がかかり、うつ病などの「二次障害」につながることもあります。
ある日突然学校に行けなくなったA君も、「行きたくない」と言ったことは一度もありませんでした。もともと変化が苦手で緊張しやすく、学校では自己主張せず周りに合わせていました。帰宅後は無言でゲームに没頭し、感情的な言動が目立つこともありました。
宿題は、寝る前に泣いたり怒ったりしながらなんとかこなす毎日。長期休みには穏やかで笑顔が増えるのに、学校があると家ではイライラが増えます。それでも学校には「普通の顔」で通い続けていました。先生には「真面目でおとなしい、やさしい子」と見られていました。こうした事例は少なくありません。
「過剰適応」という状態があることを、まず知っていただければと思います。次回は、その傾向と対策について考えてみたいと思います。