
折り返しを過ぎた明治安田J2・J3百年構想リーグ地域リーグラウンドで、J3の松本山雅FCが東B組の上位をうかがうなど、Jリーグ参入後最低の15位に終わった昨季からの再生を印象付けている。強化責任者の都丸善隆スポーツダイレクター(SD、46)に、チームづくりの方針と手応えを聞いた。
山雅の伝統とトレンドがマッチ
―今季ここまでの戦いぶりをどう見る?
「石﨑信弘監督が志向する、前線からプレッシャーをかけてボールを奪い、手数をかけずにゴールに迫るプレーの回数が増えてきた。試合後のミーティングや選手同士で話をする中で、戦い方の意思統一ができてきたと感じている」
「J2のチームが相手でも、全く戦えないとか崩れてしまうとかいう試合がなく、しっかりと自分たちのサッカーを表現しながら粘り強く戦い、互角あるいはそれ以上に渡り合えている試合もいくつかあった」
―2024年12月のSD就任会見では、タックル数の少なさなどを例に「アグレッシブさ」の欠如を指摘した。
「今のサッカーのトレンドは、どんどんフィジカル(体力)の要求が上がり、よりタフでスピーディーになっている。一方で、かつて山雅が躍進した時に強みにしていたことを、再認識しなければいけないと思っていた。山雅の伝統と今のトレンドはマッチする」
「そういう狙いで石﨑監督を招聘(しょうへい)し、獲得する選手も『走力がある』『タフにプレーできる』といった部分を重視した一方で、技術・戦術の持ち味も評価した。石﨑監督が選手たちをハードに鍛え、技術・戦術とバランスがかみ合うイメージを持っていた」
―昨年12月の石﨑監督の就任会見の際、「選手の人間性も重視する」と言っていた。愛される選手・チーム像をいろんな人に尋ねたとか?
「ご飯を食べに行った時に身分を明かさず、お店の方に『最近の山雅はどうですか』と聞いたこともあった(笑)。そうしたら多くの人から『あまり走らなくなっちゃった』と。それは単に走ることだけでなく、諦めないスピリットや、苦しい状況も力を合わせて粘り強く乗り切っていく精神性のことだと思った。ここ数年はそれが表現しきれず、ファン・サポーターも感情移入して一緒に戦うのが、難しい時期があったのではないかと想像する」
「昨季は、うまくいかない時に選手同士で建設的な提言やアドバイスをし合い、互いに納得して進んでいけるコミュニケーションが少なく、大きな課題として認識していた。僕は、たくましさと優しさの、両面を内包するチームにしたいと思っている。90分の試合の中で選手たちの勇敢さや責任感、気配りや包容力を目にした人が、『自分もそういうふうに生きたい』と思って帰ってくれたら、すごく価値がある」
―石﨑監督は選手層の薄さを課題に挙げている。
「今いる選手たちに、奮起して頑張ってほしいという思いが第一。ただ、必要であれば選手を加えていくのも僕の仕事。両面からチーム力を上げていきたい」