
「汁なし担担麺」は広島のご当地グルメだ。中国・四川省発祥のスープのない担担麺を日本風にアレンジ。広島市で2001年に「きさく」という店が始め、そこから広まったとされる。
松本市では、松崎司さん(53)が「きさく」の担担麺を食べてから独自のレシピを考案し、08年に小屋北で「中華そば くにまつ」を開店。汁なし担担麺専門店として支持を集めたが、翌年には広島へ移転。発祥の地でブームの立役者となった。
21年に松本に再び店を出し、和田で2年間営業した後、休止していたが、25年4月に同じ建物で、店名を「STARVALLEY NOODLES」と変えて〝あの味〟を復活させた。本木幸一郎さん(50、新村)が店長として、店を切り盛りする。
松本で完成させた味 広めたい
スターヴァレイヌードル社長の松崎司さんは、30代で東京から豊科町(現安曇野市)へ移住し、製麺所で働いた経験を持つ。当時、友人と旅行で訪れた広島の「きさく」で、初めて汁なし担担麺を口にした。辛い物が苦手なのに、「なぜかまた食べたくなった」。不思議に思い、その晩から味の研究を始めた。
勤務先だった製麺所から麺を仕入れ、松本市小屋北に「中華そば くにまつ」を開業。客の反応を見ながら改良を重ねた。
2009年に広島へ移転したのは、本場で勝負したかったから。有力店の評価を勝ち得て、21年に松本に〝凱旋〟し、和田に新しい「くにまつ」を開いた。
人員不足のため2年で閉店したが、いつか再開するために空き店舗を維持し続けた。「『くにまつ』」の汁なし担担麺は、松本の客と共に完成させた味」という、強い思いがあったからだ。地主を通じて知り合った本木幸一郎さんが店長を務めてくれることになり、「スターヴァレイヌードル」と店名を変え、再オープンが実現した。
松崎さんは現在、広島市を中心に「中華そば くにまつ」をチェーン展開。広島県外では唯一となる松本店を含め、16店舗を運営する。オリジナルの麺と調味料は、自ら手がける「ななも製麺所」から各店舗へ発送されている。
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現店長の本木さんは松本市で生まれ育ち、松本第一高校食物科を卒業後、料理の道へ進んだ。中華料理店をはじめイタリアンや鉄板焼き店、会社員など、幅広い仕事を経験してきた。ラーメンとは縁がなかったが、妻の「やってみない?」の一言が転機となった。
まずは広島市の「中華そば くにまつ」本店で10日間の修業に臨んだ。1日200~300人が来店。市内の至る所に汁なし担担麺専門店が並ぶ。初めて食べたときは「こんなにうまいものがあるのか」と衝撃を受けた。
「くにまつ」の熱烈なファンの存在にも驚かされた。「松本にもこの味を広めたい」。決意が固まった。
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「底の方から麺を持ち上げるように、よくまぜてから食べてください」。本木さんは1人で店を切り盛りしながら、客への気配りも忘れない。
汁なし担担麺の器は浅い。練りごまとラー油がベースのたれの上に麺が盛られ、味付けそぼろ肉と青ネギが彩りを添える。麺とたれをしっかりまぜて生まれる一体感。さんしょうの辛みが後を引く。
看板メニューの汁なし担担麺は750円。低めの価格設定には、「ラーメンは庶民の食べ物」という松崎さんの信念がある。
たれには大分県産しょうゆを使い、花椒、八角、桂皮など多数のスパイスや香味野菜を使うなど、細部にこだわる。残ったたれにご飯を入れたり、卵をかけたりして味わうのもお勧めだ。
メニューには松本店だけの「汁なし麻婆麺」や、辛さが苦手な人向けの「塩そば」もある。「松本では、広島ほど汁なし担担麺の文化は根付いていない」と本木さん。開店から1年、まずは味を知ってもらうことが目標という。
日・月曜定休。営業時間は午前11時~午後2時、5~8時。インスタグラムから。