松本の「華松煙火」の蔭山さんと岩元さん 熱い〝花火愛〟で職人へ一歩

多くの人を笑顔にしたい

日本の伝統と技術が詰まった花火に魅せられて─。松本市島内のメーカー「華松煙火」に今年、二人の若者が入社した。共通するのは〝花火愛〟。見るのも好きだが、「花火は人を幸せにする」と自身が作り手になり、多くの人を笑顔にするのが目標だ。ロマンを胸に抱き、職人への道を歩き始めた。
1月に入社した蔭山哲平さん(23)は兵庫県太子町出身。大学2年の夏、地元の海辺で開かれた花火大会に友達と出かけた。打ち上がる花火と、その光に照らし出された周囲の観客を見て気づいた。「笑顔の人もいれば、涙を流している人もいる。花火は人にいろんな感動を与える」と。
「花火が開いているほんの数秒の間に、さまざまな物語や思い出が生まれている」とも感じ、この時から猛烈に花火に携わりたくなったという。大学卒業後は地元の菓子メーカーに就職したが、花火への思いを捨てられずにいた昨年、華松煙火が12月にインターンシップ(就業体験)を行うことを知り応募した。
「体験して理想と現実がかけ離れていたら…」という不安もあったが、花火作りの仕事は知れば知るほど奥が深かった。先輩社員の人柄にもほれ込み、就職を決めた。

4月に入社した岩元結夢さん(20)は愛知県一宮市出身。高校3年の秋、初めて料金を支払って見た花火大会の、オープニングを飾ったのが華松煙火のスターマインだった。「音楽と融合した花火で、ずっと印象に残った」という。
子どもの頃から大好きな「ディズニー」に携わる仕事に就くのが夢で、高校卒業後は観光系の専門学校に通いたいと、学費を稼ぐためにアルバイトを始めたが、「働くだけで味気ない生活。趣味がほしい」と始めたのが花火観賞だった。
全国各地の大会に足を運ぶようになり、「どっぷりとはまった」。同時にアルバイト代が底をつき、困り始めた頃に華松煙火のインターンシップを見つけた。SNSで調べるなどして「見るのもいいが、花火師になるのも面白そう」と参加し、そのまま就職した。

自分が製造に携わった花火が打ち上がるのを目にした蔭山さんは「感動もしたが、『ここからやな』と思った」、岩元さんは「ちゃんと開いてくれて安心した。早くもっと大きな玉を作りたくなった」。若い二人の情熱がこもった花火が、夜空を彩る夏はもうすぐだ。