松本の小川原淨さん 「山岳画」を通じて自身の心象を表現

80歳 制作に情熱燃やし続けて

雪に覆われた北アルプスの山々を描いた100号、130号の油彩画―。長年、美術団体の創元会などで活躍する小川原淨さん(80、松本市蟻ケ崎)の作品は、そんなイメージが強い。タイトルにも山の名前が記される。
だが、小川原さんの本音は「どこの山でもいい。見たそのままを描いているのではなく、一度自分の中に取り込んで作品にする、いわば私の『心象画』なのだから」という言葉にある。
小川原さんの大作が5月現在、3カ所で見られる。「日展 安曇野展」(安曇野市豊科の市美術館)、「日本山岳画協会展」(池田町会染の北アルプス展望美術館)、小川原さん所有施設「アートスペース常念麓」(安曇野市穂高有明)。同時に見られる機会は珍しい。

中信3会場で大作同時展示

安曇野市豊科の市美術館で31日まで開催している「日展 安曇野展」会場にある小川原淨さんの絵は、「厳冬五竜岳崇む」と題した100号。
今まで周辺の人たちから勧められても応募しなかった日展に出す気になったのは、「80歳の記念にと思った」から。初応募で初入選を果たした。
池田町会染の北アルプス展望美術館で開かれている「日本山岳画協会展」(6月21日まで)には2点が展示されている。130号の大作「厳冬鹿島槍崇む」と30号の「御嶽山崇む」。
鹿島槍の方は、かなり山頂に迫った構図。御嶽山の絵は、1985(昭和60)年の作。心身共に調子を崩し、気分転換に山歩きや絵を始めたばかりの頃という。「御嶽山を見ているうちにエネルギーをもらえた気がした。忘れられない作品になった」と語る。
安曇野市穂高有明の、通称山ろく線沿いにある「アートスペース常念麓」は、屋根と外壁が一体となったカナディアンシーダーハウス造りで、小川原さんが所有するギャラリーだ。午前9時~午後4時半。月曜休館。無料。常時、自身の作品20点ほどが並んでいる。
展示の最新作は、4月に創元展で発表した130号の「白馬五竜岳冬景」。日展と同じ五竜岳がテーマだが、構図はまるで違う。「基本、心象画なので、細かいこだわりはない」と笑う。
画材を持って山に登り現場で描く。大作はキャンバスを車に積み、車が入れる所まで登った後、ある程度まで描いて、アトリエで仕上げる。
若い時には営林署に勤めたが、「塗装の仕事をしたい」と思い立って退職。数年の修業の後、27歳で塗装店を開業した。現在も会長として籍を置く。
創元展には89年、43歳の時に初応募。こちらも日展同様、初回で初入選し、現在まで入選が続いている。2010年に創元会会員となり、4年前からは審査員も務める。
20年ほど前から中信美術展にも作品を出す。現在は6月の同展に向け、白馬村青鬼地区から見た五竜岳や白馬岳の絵を制作中。「今度は冬ではなく、5月の薫風香る頃を描いている」と言い、自分で改造した脚立に乗ってペインティングナイフを動かす毎日だ。