【ビジネスの明日】#83 ユニコン社長 百瀬将之さん

産業用ロボット市場拡大商機に

「労働人口が減って、職場の自動化が進む限り、この業界は右肩上がり」。こう語るのは精密機械部品製造を手がけるユニコン(塩尻市広丘吉田)の百瀬将之社長(59)だ。産業用ロボットなどに使われる減速機の部品製造が主力。高い精度が求められるが、「誰でもレベルの高い製品が作れる仕組みづくりをしている」と、胸を張る。
同社は産業用ロボットをはじめ、宇宙衛星や医療機器の関節部分など、最先端の精密加工部品を製造。
主力は、安曇野市に営業拠点や工場のある、精密減速機の開発・製造などのハーモニック・ドライブ・システムズ(本社・東京)の精密減速機の部品製造。これがユニコンの売り上げの約9割を占めるという。
「あらゆる仕事の現場で労働人口が減っている限り、産業用ロボットなどは増えていかざるを得ない」とした上で、「この状況の中で、短期的には浮き沈みはあるが、この先、人型ロボットにも使われるはずなので、長期的には右肩上がりになっていくのでは」と分析。人の代わりを機械がする時代が進むことを見据えている。
社員の働く現場にこだわりを持つ。まず工場。天井裏がむき出しの所が多い中、天井を張り、窓をなくした。壁には断熱材などを施している。これは室内の温度を一定に保つため。精密な金属加工の現場では、どんな高性能な機械を使っても、わずかな温度変化で狂いが生じる。
これをできるだけなくすことで、「人の経験や勘」などに頼ることなく、機械を扱えるようになれば、入社間もない社員でもすぐに活躍できるという。
また、環境面にも配慮。工場の周囲には住宅も多いため、鉄やアルミなど金属の削りかす「切粉」などの廃材は、廃材から漏れた油で土壌を汚染しないように、屋内で管理。工場内のエアコンの空気から出る水には油も含まれるため、水と油に分解して処理しているという。
「いい工場がないといい物はできない。製造業の現場では『変わり者』『特殊』と言われることもあるが、これが常識」と意に介さない。
現会長で父の浩さん(85)が農業機械の会社を脱サラして1985年に創業。浩さんは当時からハーモニック・ドライブ・システムズの減速機のことを知っており、「減速機ありきの起業だった」という。
「父は普段から努力して、いろいろなことを考えていた。普通ならためらうことを実行していた」。先代の先見の明を見習う時だ。

ももせ・まさゆき 1967年、松本市出身。松本深志高、東京電機大卒。三協精機製作所(現ニデックインスツルメンツ)、ハーモニック・ドライブ・システムズを経て、97年、ユニコン入社。2021年5月、社長就任。