
松本市アルプス公園(蟻ケ崎)にある「小鳥と小動物の森」飼育員の樋口香穂さん(28、塩尻市広丘吉田)は、サルやタヌキ、シカ、イノシシなど日本産の哺乳類を担当している。動物たちの性格や関係性をよく知る〝事情通〟は、「来るたびに発見がある動物園」を目指し、独自情報の発信やその工夫に余念がない。
ユーモアたっぷりに動物たち紹介
「この子見てください。かわいいでしょう」と言って抱き上げたのは、雌のタヌキ「マミレ」。〝美形〟としてタヌキ好きの間ではちょっとしたアイドルで、全国からファンが会いに来るという。
人懐こい性格で、夜行性なのに積極的に顔を見せるなど、ファンサービスの心得も。「同居する『うるる』は人が苦手。だから余計にマミレがかわいく見えちゃうんです」と話す樋口さん。
シカ舎に行くと、柵に「WANTED」の張り紙が。シカと一緒に暮らす3羽のニワトリを紹介しているのだが、その内容が面白い。
「おぼろ=人間をはちゃめちゃに蹴るのでバードホールをクビになった」「ごましお=人間をめっちゃ蹴るのでふれあいひろばをクビになった」「おしお=ごましおに付いてきただけ。ただただかわいい」
一体何があったのか? 「お尋ね者」を押し付けられたシカたちの心情も気になる。張り紙を作ったのは樋口さん。「動物たちの暮らしぶりや関係性、性格などを知り、いろいろ想像して楽しんでほしい」
猿山に置く、全メンバーを紹介したファイルも必見。サルたちの見た目や行動の特徴が、愛情とユーモアたっぷりに書かれている。
「コウシロウ=肩幅がめっちゃでかい。サイドのそり込みがデカすぎて、頭を一周しそう」「タイラ=名前を呼ぶと地面をたたいて怒る。気に入らなかったのかな。ごめん。いい名だよ」
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飼育員になって9年目の樋口さんは、木曽町福島出身。日常の中で野生動物を目にする自然豊かな環境で育ち、「その頃の原体験が影響している気がする。四季を肌で感じながら過ごすのがうれしい」。
「小鳥と小動物の森」では昨年から、春~秋の毎月第2、4日曜日にイベントを開催。ポニーに餌やり、散歩中のヤギとの触れ合い、クジャクの羽をプレゼント…などなど。スタッフ全員でアイデアを練る。
「地元の人が、何度も足を運ぶのがこの園の特徴。『この前来た時とちょっと違う』をできるだけ仕込みたい」。そう言って樋口さんは目を輝かせる。