
読書の推進や出版文化の発展、地方発の文化の創造と発信を目指して塩尻市立図書館が2012年から続ける連続講座「信州しおじり本の寺子屋」が15期目を迎えた。6月21日の講師は映画監督・脚本家の神山(こうやま)征二郎さん(84、上田市=写真)。同講座の発案者の一人でコーディネーターを長年務めた編集者の故・長田洋一さんが、最後に望んだ講師だ。
昨年8月に80歳で亡くなった長田さんは毎年リストを作り、直接交渉して多くの講師を招いてきた。「自分がコーディネートするのは15年。後は手を引く」とし、「最後の年にどうしても神山さんを招きたい」と、妻の久美子さんに話していたという。
神山さんは岐阜県生まれ。71年「鯉のいる村」で監督デビューし、83年「ふるさと」で初めて脚本も手がけ、「ハチ公物語」「草の乱」など多くの作品を撮ってきた。社会派の視点と、綿密なリサーチに基づくシナリオで知られ、映画製作に必要な環境と判断して22年、東京から上田市に移住した。
「シナリオも一つの文学作品」と捉えて神山さんの作品を見てきた長田さんにとって、神山さんは引かれる存在で、県内に移住したこともあり講師に切望したが、病気で依頼できなかったという。
闘病中もその思いを強く持ち続けたことを知る久美子さんが、「夫の最後の願いをかなえたい」と関係者に働きかけ、今回の講座が実現した。「長田が本の寺子屋に関わる最後の機会。多くの人に聞いてほしい」と久美子さん。
講演のタイトルは「一にシナリオ、二に役者」。市民交流センターえんぱーく(大門一番町)で午後2~4時。無料。定員先着130人。申し込み、問い合わせは同館TEL53・3365