
ペンキ飛びや色あせがある1940年代フランスのワークジャケット、60年代英国のホワイトシャツ、織り柄ストライプが美しい40~50年代フランスのコットンパンツ…。
店内には、自然素材の生地を使い、職人の手で丁寧に作られ、修繕しながら長く使われた服がずらりと並ぶ。歴史が刻まれた服たちは味わい深く、唯一無二の存在感を放つ。
ここはヨーロッパ古着専門店「Laune」。4月下旬、松本市梓川倭の北島黎さん(30)が市中心部の伊勢町通りに開いた。
場所は昨年閉店した松本パルコの真向かい。東京で経験を積んで地元へ戻り、松本のファッションの中心地で新たな風を吹かせる。「東京からも買いに来たくなる店をつくりたい」と語る。
細部まで丁寧心躍る職人技
ラウネの古着は、いわゆるビンテージ(古くて価値のある年代物)ウエアが中心。1920年代のジャケットから90年代のカットソーまで幅広い。多くはメンズ服だが、レディースもある。
50年代イタリア軍のレザージャケットや、60年代スペイン軍のカモフラージュ柄ジャケットなど、ミリタリーウエアも豊富。ユーゴスラビアのスナイパー(狙撃手)が着用した服まである。
特徴は全てヨーロッパの服であること。北島さんが現地ののみの市、古着屋、倉庫などで買い付ける。現在店頭に並ぶのは、オープン前に3週間、フランス、英国、イタリア、スペイン、ベルギーなど7カ国を巡って仕入れた物だ。
細い糸で緻密に織り上げた「コットンギャバジン」のコートや、太い糸で織り上げ丈夫に作られた「ドリル生地」の作業服など、自然素材で作られた服たち。
ペンキ飛び、色あせ、ほつれ、当て布など、使用する中で偶然生まれた柄が、美しさや楽しさ、味わいを醸し出す。
細かいピッチのステッチ、動きやすさを求めて入れられたマチ、アクセントとなるメタルボタンなど、細部まで丁寧に作り込んだ職人仕事にも心が躍る。
「どの服にも歴史やその国の文化、使い手の思いや作り手の技術がある。それらをまとって街を歩くのは、なんとも言えない豊かな時間」と北島さんは話す。
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大学でファッションを学んだ後、日本を代表する高級モードブランドで働いた。30歳で自分の店を持つと決め、さまざまな経験を積もうと退社。東京・有楽町の阪急メンズ東京などに出店するヨーロッパビンテージウエア店「ストレイシープ」に入ると、社長の買い付けに同行し、実際に自分で選びながら審美眼を養った。国内2店舗で店長を務め、店舗経営も学んだ。
5年半勤めた同店を辞めて、松本にUターン。店名「ラウネ」はドイツ語で「気分、気まま」の意味で、「そのときの気分で『いいな』『着たいな』と思ったものを仕入れる。型にはまらず、常に変わっていく店にしたい」との思いを込めた。
「服は時代と共に快適になっていったが、それと引き換えに失ったものもある。着にくかったり不格好だったりしても、それが愛らしいのが古着。いいものを長く使うクラフトの街・松本で、ヨーロッパ古着をまとう暮らしの魅力を発信したい」と笑顔を見せた。
午前11時~午後7時。不定休。詳細はこちらから。同店TEL050・8892・9716