精神障がい専門の訪問看護ステーション「あかつき」看護師5人が安曇野に開所

「利用者の伴走者でありたい」

人間関係の難しさや環境変化などによる社会的ストレスが強まり、精神科や心療内科を訪れる人が増えているという。そんな状況の中で、少しでも患者に寄り添った看護をしたいと、病院の精神科や同科の訪問看護ステーションに勤務した経験がある看護師5人が、会社「CONVIVIAL(コンヴィヴィアル)」を設立。昨年12月、精神障がいを専門とする「訪問看護ステーション あかつき」(安曇野市穂高北穂高)を開いた。
利用者(患者)と一緒に悩み、気軽に相談に乗る、対等の関係が基本。看護師たちのワークライフバランスも大切にし、楽しく仕事をすることが、利用者の求める看護にもつながると信じている。
「どんなに長くても明けない夜はない。隣で一緒に朝を待つ存在でありたい」。あかつきの名に込められた思いだ。

患者の要望する細かいケア応え

病院など大きな公的組織の中では、規則による縛りが多く、患者の細かい要望に応える看護は、一般には難しい。例えば散歩の付き添い、部屋の掃除などを、したくてもできないことがある。精神科の看護師、関川健次郎さん、柴野翔太さんは自由度の少ない看護に歯がゆさを感じていた。
「利用者、患者が本当に求めているものは何だろう」。身近な地域の中にある気軽さ、寄り添う優しい存在感―。細部のケアにこだわるのなら、自分たちが動くしかない―と関川さん、柴野さんら40~60代の男女5人で株式会社CONVIVIALを設立、昨年12月に訪問看護ステーションあかつきを開所した。精神の看護20年以上といったベテランばかりだ。
「白衣に恐怖を感じる人がいる」「自分たちも動きやすいように」との理由で、ユニホームの紺のポロシャツ、Tシャツにスエットパンツなど、動きやすい服を着用する。訪問時にどこの車か分からないように、車体にステーション名は入れない、といった配慮もした。一人一人の声に耳を傾け、信頼関係を育みながら、利用者の「やりたい」「こうなりたい」といった思いを支え、「ともに笑顔で こころの夜明け」をモットーに掲げる。
幻想、妄想に悩み、外出できず、暮らしに困っている人がいる。社会生活がままならず、人格が荒廃していく人がいる。自閉スペクトラム症で、こだわりが強く社会に適応しづらい人もいる。精神疾患の症状は千差万別で、家族背景も異なる。「同じケースはまずない」と関川さん。看護には柔軟さが必要だ。

目標は地域密着 さらなる事業も

「小さい組織だからできることがある」と柴野さん。スタッフ全員に熱意があり、利用者のケアについて議論することもしばしば。小さな組織であるがゆえに、互いに協力し、助け合うこともできる。「社内で密なコミュニケーションを取れることが強み。楽しく仕事ができる環境が、結果としていい看護につながる」と関川さん。
現在、北は小谷村、南は塩尻市と幅広い地域を飛び回る。移動に時間がかかる効率の悪さが課題という。対策として、ニーズがある地域にサテライトをつくり、地域密着のステーションに育てる方向を検討中だ。
さらに、古民家を改修し精神疾患のある人が住める場所をつくる、気分転換や脳の刺激にもなるフィットネスを取り入れる、などの事業も考えている。
会社名コンヴィヴィアルは、ラテン語の「convivere(共に生きる)」が語源。関川さんらの思いを表現した。「利用者の伴走者でありたい」
月~金曜午前9時~午後5時。土日曜・祝日、年末年始定休。TEL0263・88・3668