О-60女子日本代表・安曇野の鶴巻千栄子さん語る「ウォーキングサッカー」の魅力

「ナイスシュート!」「いいパスだ」。サッカーボールを追いながら上がる声には、「歩きじゃ追いつかないよ」「ボール上げすぎ」などの声も交じる。8日、安曇野市の堀金総合体育館で行われていたのは、歩くサッカー「ウォーキングサッカー」だ。
中心になって活動しているのは、一般社団法人日本ウォーキングサッカー協会の公認指導者、鶴巻千栄子さん(72、安曇野市堀金三田)。5月28~31日、オーストラリア・ブリスベンで開かれた国際ウォーキングサッカー連盟の世界選手権に、60歳以上女子の日本代表選手として参加してきた。
走ることも、体が接触するプレーもできないウォーキングサッカー。その魅力はどこにあるのか。鶴巻さんに聞いた。

誰もが楽しめる壁のない競技

走る、ヘディングする、ボールを高く上げる、接触する…。普通のサッカーでは当たり前のプレーだが、ウォーキングサッカーではいずれも禁止。だからこそ年齢、性別、障がいの有無を問わずに誰もが楽しめる。
発祥は英国。サッカーやフットサルに比べてスピードが緩やかなため、経験がない人や運動が苦手な人も参加できる。地域の仲間づくりやコミュニティーの創出に役立てることができ、筋力や持久力を高め、健康づくりを通じて認知症予防や介護予防にもなる。
介護福祉士として働いてきた鶴巻千栄子さんは、7年ほど前にスポーツレクリエーションワーカーの資格を取得した。その時仲間に誘われてウォーキングサッカーを体験した。介護に携わってきた経験から「高齢になると走ることが難しくなるが、走らずに歩いて、ボール一つで楽しめる。これなら、年齢を重ねた人も楽しく運動できるのでは」と感じた。
自身が携わっている安曇野総合型地域スポーツクラブ「スポネット常念」に呼びかけて教室をスタート。日本ウォーキングサッカー協会に直接連絡し、公認指導者の資格も取得した。
当初は堀金中学校体育館で土曜日に開催。初期メンバーは若い世代が多かったため、シニアやシルバー世代が参加しやすくしようと、2年ほど前から平日の教室を堀金総合体育館で開いている。8日は8人が参加し、会話も楽しみながら汗を流した。
参加者の目的は「運動不足やストレスの解消」「トレーニングの一環」などさまざま。いろいろな場所で体験会などを開いてきた鶴巻さんによると、サッカー経験者だけでなく、障がいがある人や高齢者、運動が苦手な人など、いろいろな人が交わることで、相手を思いやって優しくパスを出したり、自信をつけて意欲的に動き出したりする変化が生まれ、コミュニケーションも生まれてくるという。
「健康で楽しく年を取り、いくつになっても輝いていたい」と話す鶴巻さん。オーストラリアで開かれた世界選手権には16カ国35チーム、700人が参加した。日本からは鶴巻さんを含む8人。日豪合同チームとして出場し、さまざまな国の参加者と交流した。
「ボール一つで仲間ができて健康になれるウォーキングサッカーを、まずは体験してほしい。もっと多くの人に魅力を知ってもらい、女性の参加を増やして日本チームを作りたいし、障がい者との混合チームもつくりたい」。鶴巻さんがビジョンを語った。
堀金総合体育館は毎週月曜日午後1時半~3時、堀金中学校体育館は第2、4土曜日午後4~6時。初回の体験は無料だがその後は1回500円。