地域課題解決へおやき開発 塩尻志学館高3年の住百合恵さん 7月4、5日文化祭で販売

期待込めた〝おやき〟誕生

「鳥獣被害を何とかしたい」「日本酒の酒かすの消費を拡大したい」―。こんな願いを込めて、塩尻志学館高校(塩尻市広丘高出)3年の住百合恵さんが、「鹿肉おやき」と「酒粕おやき」を、地元企業の各務製粉(同市宗賀)と協力して開発した。4、5日に開く同校の文化祭、桔梗祭で販売する。
住さんは、1人1テーマで取り組む総合研究の授業で、鳥獣被害の解決方法を探る中、駆除されても使われない鹿肉に注目。おやきの材料として使うことを思いついた。朝日村観光協会から酒かすの利用方法について相談があったこと、住さんが同村在住といった縁もあり、こちらもおやきにした。
鹿肉は具に、酒かすは皮に練りこみ、計3種のおやきが出来上がった。文化祭の2日間で300個を販売する予定だ。

地域の活性化に鹿肉と酒かすを

鹿肉おやき。ミンチにした鹿肉にローズマリーなど6種の香草を入れ、白ワインで煮込み、赤ワインを練りこんだ生地で包み、蒸して仕上げる。
酒かすおやきは、朝日村観光協会の日本酒「鉢盛山」の酒かすを使う。板状のかすを一昼夜水に入れて液状に戻して生地に混ぜる。具材は粒あんと辛みその2種類。辛みそは、朝日村で栽培した激辛の「内藤とうがらし」入りで、酒かすの風味を出すため焼く。
6月24日、塩尻志学館高校で開いた試食会には住百合恵さん、各務製粉業務課の稗田憲司次長、同協会の上條喜美雄事務局長らが参加。鹿肉おやきは「課題だった臭みが気にならない」「気軽に食べられ、鹿肉はおいしいと気づいてもらえるのでは」。酒かすおやきの粒あんは「風味を後から感じる」。辛みそは、試食では辛過ぎたため、販売する際は内藤とうがらしを少な目にすることになった。
鳥獣被害、酒かすの消費拡大、地域活性化。いずれも地域や同協会が直面する重い課題だ。これらの解決、改善を目指し、住さん、各務製粉、同協会が手を結び、おやきの完成にこぎ着けた。
熊の目撃情報が相次ぎ、人への被害も報告される中、住さんは総合研究の授業で、鳥獣被害の問題を選び、解決策を考えた。だが、実態を知ると「熊などを退治することは不可能」という認識が強まり、対策をなかなか見いだせなかった。
模索する中で、昨年の3年生が「県のこと、地元のことを知ってもらおう」と赤ワインを練りこんだおやきなどを各務製粉と開発、文化祭で発売したことを思い出した。「自分のテーマとおやきがつながるのでは」。鹿肉が手に入ったこともあり、着地点が決まった。
同協会は同村産の酒米、美山錦を塩尻市の美寿々酒造(洗馬)に託し、純米吟醸を委託醸造しており、造った後に出る酒かすの使い道を考えていた。辰野町に視察に出かけた際、辰野高校と協力し、酒かすを使った商品を開発していることを知り、学生のアイデアを知りたいと志学館高へ打診。ちょうどおやきを開発中のタイミングで、さらに住さんが朝日村在住とあって、酒かすおやきも作ることになった。
おやきは3回試作。1回目は鹿肉のミンチとブロックを試し、臭みをなくすためミンチを選択。2回目は塩味が強過ぎたため、玉ネギで甘みをプラスするなどした。
鹿肉は高たんぱく、低脂質、低カロリーで、鉄分やビタミンB群が豊富な優れた食材。住さんは「健康、美容にいいと聞いている」と話す。
高校生の思いとアイデア、地元企業の技術、さらに観光協会の地域活性化の願いがこもったおやきは、どんな味に仕上がったか楽しみだ。1個130円。