迷い込んだ先でお気に入り見つける楽しさ 安曇野・明科に空き家利用の複合施設

女性3人「地域を盛り上げたい」

「ラビリンス」は英語で迷路の意味。迷路のような路地裏に迷い込んで、目当ての店を見つける―。そんな楽しさがある施設がオープンした。安曇野市明科中川手のJR明科駅前。密集した住宅街の中にある、築70年近い空き家を利用した複合施設「あがたまちラビリンス」だ。
施設にはラーメン店、スパイス専門店、鍼灸院が入り、いずれも女性が切り盛りする。周囲に接道がなく、車で乗り付けることはできない。立地の不便さを逆手に取り、「見つけた!」という新鮮な喜びを味わう提案でもある。
近くでシェアスペース「龍門渕てらす」を運営する合同会社「うずまき」の物件第2弾。横内健人代表は「ラビリンスを生かして地域に新たな人流を生みたい」と語る。

空き家を改修し「路地を生かす」

安曇野市明科中川手の複合施設「あがたまちラビリンス」は、JR明科駅から徒歩数分の住宅街にある。建物は1958(昭和33)年に建てられた木造2階建て、延べ面積約170平方㍍。
1階にはラーメン店「らぁ麺空条(くうじょう)」とスパイス専門店「ももんが香辛堂」が入る。
らぁ麺空条の店主は宮下友里さん(37、明科七貴)。2019年に同市豊科にできたラーメン店のオープニングスタッフとして、ラーメン作りを一から学んだ。約3年前に、龍門渕てらすにチャレンジ店を出して腕試し。独立を真剣に考え始めた時に、ラビリンス入店の誘いを受けた。
宮下さんのラーメンは、地元の食材や調味料を使い、鶏がらや豚骨、野菜などをじっくり煮出した、透明な清湯(ちんたん)スープが基本。「スープに一番合う」麺を、京都市の製麺所と考案した。
しょうゆと塩味があり、あっさりだが、うまみが十分に感じられる「子どもにも優しいラーメン」と宮下さん。「いろんな店が集まり、相乗効果が生まれれば」と期待する。
ももんが香辛堂の店主は北山恵子さん(45、穂高有明)。約9年前に横浜市から移住。数十カ国の海外旅行でスパイスの「沼にはまった」。22年に穂高有明に同名の屋号の工房を開き、仕入れたスパイスを自家焙煎(ばいせん)し、独自に調合。卸販売などをしている。
「スパイスで日々の献立を豊かに」がモットーで、「スパイスを〝使うぞ〟と気負わず、気軽に試してほしい」と願っている。
ラビリンスでは、調味料としてだけでなく、ふりかけやサラダのドレッシング代わりにもなる独自調合の商品を提供。今後は、スパイスを利かせたテイクアウト用のドリンクの販売も予定する。北山さんは「施設の共用スペースで『スパイス遊び』みたいなこともできれば」と見据える。
2階の一部屋をレンタルスペースとして利用するのは、「椿鍼灸(しんきゅう)院」の柳澤まな美さん(38、明科七貴)。
プロのクラリネット奏者でもある柳澤さんは、15年の「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」の舞台に立った経験がある。この年に母を亡くし、東洋医学に興味を持った。コロナ禍になり、演奏活動の自粛を強いられてできた時間を使い、鍼灸師資格を取得した。
小児が主な対象で、皮膚に刺さない「てい鍼」で施術。起立性調節障害やかんむし(疳の虫)などの改善に効果が期待されるという。「薬でなくても、体が楽になる方法があることを知ってほしい」と柳澤さん。「女性3人で地域を盛り上げていけたら」と力を込める。
あがたまちラビリンスを運営するうずまきは、明科駅周辺の空き家や空き店舗の利活用による地域活性化などを目的に、市内の経営者や元役場職員らが20年10月に設立。第1弾で「龍門渕てらす」を手がけ、「あがたまちラビリンス」はうずまきが空き家を買い取り改修した。
横内健人代表は「『路地を生かす』が一番のテーマで、その拠点になれば」と期待する。