芸術性詰まった練り切り「魅力伝えたい」松本のながた寿し2代目・長田崇さん

想像力大切に新しい提案を

 

花や果物といった季節感があるものや、地域の民芸品などを、繊細に表現する和菓子「練り切り」。色合い、造形など、芸術性がぎゅっと詰まっている。その魅力を伝えたいと長田崇さん(51)は、練り切りカフェ「温 Tazune」(松本市埋橋2)を開いた。
1972(昭和47)年創業のながた寿しの2代目。松本調理師製菓師専門学校で和食を勉強、都内の茶懐石の店で修業した。茶道に触れ、和菓子に携わり、練り切りの美しさに心を打たれた。
松本に戻ると、再び練り切りへの思いが強まった。すし店の仕事をしながら和菓子の勉強を続け、「店を持ちたい」という構想を形にしていった。すし店階下にカフェを併設したのは、今年4月だった。

練り切りカフェ「温 Tazune」

ながた寿しの階下にある練り切りカフェ温。オーナーの長田崇さんは色とりどりのあんを手に取り、「富士山」「松本手毬」など、美しくかわいい練り切りを作り出す。
「花束」は花を一つずつ作る。「夏みかん」はちょっと皮をむいた形にするなど遊び心も。細かい部分でも手を抜かず、丁寧な作業で完成させ、ショーケースには常時5、6種が並ぶ。
形が違っても、味はあまり変わらないというイメージが、練り切りにはつきまとう。だが、花束は抹茶、松本手毬はいちご、夏みかんはゆずなど、それぞ包むあんを変え、微妙な変化を生み出す。和三盆糖を使って上品な甘さに仕上げる。伝統的な和菓子に長田さんの感性をプラスし、独特な練り切りを生み出している。
実家がすし店だったので、松本調理師製菓師専門学校に進み、主に日本料理を勉強した。都内で修業をした後、31歳で松本へ戻り、ながた寿しで腕を振るっている。
練り切りの存在を知ったのは修業中の頃。仕上がりの美しさに驚いた。後年、母校の専門学校で講師を務めた際、和菓子を専門とする教員から練り切りについて聞く機会があった。若い頃に受けた衝撃がよみがえった。
「練り切りの勉強をしたい」。思いが募り、松本市内に練り切りを教える人がいたため、師事した。長く料理に携わり、味付け、盛り付けなど一線でやってきた自負はある。同時に、「練り切りがうまく作れるようになったら店を開きたい」と考えるようになった。
5年前から少しずつ準備を進め、今年4月に開店。店名は「温故知新(故きを温ね、新しきを知る)」から付けた。
「和菓子の魅力は季節感を感じられることと、何でも表現できること」と長田さん。「料理にも通じるが、おいしいのは当たり前。その上で、きれい、食べたくなる、といった見た目も大切」と力を込める。
コーヒーと練り切りの組み合わせは「合う」と薦める。「和菓子は洋菓子よりも低カロリー。長所を生かした新しい提案ができればとも思っている」
現在は練り切りを仕上げ、接客はスタッフに任せるなど分業し、すし店とカフェの2店を飛び回る毎日だ。態勢が整えば、リクエストの多い抹茶も提供したいという。店内に専用スペースを設け教室を開くことや、すし店との連携も考える。
月2回をめどに、新しい練り切りを出すことを目指している。「写実でなく想像力を大切にしている」。長田さんの頭の中ではどんなイメージが膨らんでいるのだろう。形になるのが楽しみだ。
1個500円。午前11時~午後5時。月、水曜定休。☎0263・31・0074