
事業の多面化と承継でまちづくり
「木曽には自然や食など、地域全体を活性化させるポテンシャルがある」。こう力を込めるのは電子部品製造などを手がけるテヅカ精機(木曽町日義)の2代目、手塚良太社長(40)だ。5月に地元の老舗そば店を事業承継。今秋には2軒の旅館をオープンする予定など、多業種展開に積極的で木曽地域を拠点としたコングロマリット(複合企業)を目指している。
事業承継した「旅籠(はたご)そば水車家」(同)は創業1968年。3代目店主が持病や今後の経営に不安があったことなどからいったんは閉店。しかし、地元客を中心に再開を求める声が上がり、手塚社長に相談した。
テヅカ精機が飲食業を手がけるのは、2025年に木曽町福島の第三セクターが経営していた創作和食店「肥田亭」を引き継いだのに続き2店舗目になった。
また、塩尻市の奈良井宿にある古民家と木祖村の薮原宿にある元旅館をそれぞれ改修。古民家はサウナなどを備えた1棟貸しの「高級志向」の宿泊施設として、元旅館は素泊まりを基本として運営する計画だ。
これら新たな事業展開に伴い、同社内に飲食・宿泊事業部を立ち上げ対応。「飲食と宿泊業で相乗効果も生まれれば」と期待する。
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13年、テヅカ精機に入社。当時の同社は、女性パート従業員がほとんどで、「これからこの会社を継ぐと思うと孤独感があった」。
その状況を打破するため、同じ世代の男性に自身の会社にかける思いや展望などを熱く語り、「今は給料が下がるかもしれないが、力を貸してくれ」と口説いて社員にした。
その際、みんなで考えた企業理念が「ものづくりからまちづくりへ」。木曽地域の雇用拡大を主目的に祖業以外に電気設備、建設事業部を立ち上げ、事業拡大。地元のクリーニング業の事業承継もした。
さらに、21~24年にかけ中信地方の異業種の3社をM&A(企業の合併・買収)で子会社化。25年には木曽町日義に不動産会社を創業した。
この結果、24年度のグループ全体の売上高は約16億円。自身が社長に就任した18年当時の20倍以上になった。
自身が口説いた男性たちは現在、社長を支える同社の幹部社員に。家業に就くまでは、ドラマーとしてバンド活動に没頭。その頃と今をだぶらせ、「メンバーが同じ方向を向かないといい音楽ができないのがバンド。ドラマーはその土台。この経験は経営に確実に生きている」。木曽の新風だ。
てづか・りょうた 1985年、日義村(現木曽町日義)出身。蘇南高卒。名古屋市の音楽専門学校で2年間学ぶ。その後はアルバイトをしながらバンド活動に注力。2013年、テヅカ精機入社。18年、社長就任。