
安曇野市穂高のパソコン教室経営、村中哲さん(78)が「すじがき」を作り、絵画が得意な大町市社の宮崎さよ子さん(81)が「4こま漫画」に仕立てた漫画「どんまいくん」が、自費出版で本になった。
A5変形判、102㌻。1㌻完成するたびにSNSのフェイスブックで発表した。第1回は2022年11月17日付。24年12月1日付の第100回まで収録している。
「100回になったら本にしよう」と話し合い、今年3月末に実現。「身近な人に楽しんでもらえれば満足」という考えから50部のみ発行した。
好評だったため、7月に入り30部増刷を決定。「わずかな数だが、手にする人が増えたらうれしい」と、二人は刷り上がりを楽しみにしている。
すじがきと作画 協力し合って
2022年11月、宮崎さよ子さんのスマホに「LINE」で4項目の文章が頻繁に送られてくるようになった。発信元は村中哲さん。内容は漫画の原案「すじがき」だ。
宮崎さんは、それを見て紙に4こまの割り付けをし、概要ができたところでタブレット端末「iPad」で描き直し、村中さんに送り返す。完成した作品はフェイスブックで発表する―。シニア二人の息の合ったキャッチボールを経て、今春、紙の本の「どんまいくん」が出来上がった。
宮崎さんは幼少時から絵が好きで、子育て中は自身の子どものために絵を描いた。在籍した北アルプス市民劇場の会報の表紙絵を長く担当したり、信濃毎日新聞に絵を投稿したりと、描くことを楽しんできた。全国紙主催の手作り絵本コンテストで奨励賞を受けたこともある。
宮崎さんが村中さん経営のパソコン教室に入ったのは2000年。基礎から学び、やがて絵をパソコンに取り込む方法も習うようになった。
「宮崎さんの絵がいい」と感じていた村中さん。教室近くで「宮崎さよ子童画展」を開いたこともある。
その流れで村中さんが勧めたのが漫画制作だった。宮崎さんは興味を持ったものの、「アイデアが浮かばない」と一度は断った。それではと、「すじがき」を村中さんが書き、漫画化を宮崎さんが担当することで、制作が始まった。
村中さんが書く内容は、大半が身近な生活の中の話題だが、「少しは政治や世相を扱ったものも」と時折、批判精神のある辛口のネタも挟んだ。
節分の豆まきを扱った「鬼はだれ?」では、怖い形相で豆をまくおじいちゃんに孫娘らしい子どもが「追い出したい鬼って何?」と聞くと、最後のこまでおじいちゃんが「堕落した政治屋だよ~」と答える。
「長野県第一位」の1こま目は「全国男子駅伝 長野優勝」でテープを切るランナーの絵だが、4こま目は父親が新聞を見ながら「クソッ なんとかならんか」と、「長野県5週連続全国最高値レギュラーガソリン184・3円」の内容に憤る場面となっている。
「外国人に見られる」は、外国人の多い観光地へ出かけた女性3人組が「どちらの国から?」と聞かれ、「信濃の国です!」と答える作品で、村中さんの信州愛が浮き出ている。
1部1100円。