「いつまでも弾き続けよう」広がる仲間の輪 松本「あがたの森ウクレレクラブ」

家族のよう 和気あいあいと

松本市のウクレレ同好会「あがたの森ウクレレクラブ」が仲間の輪を広げている。家族的な雰囲気で、「いつまでもウクレレを弾き続けよう」が合言葉。初心者も歓迎している。
ウクレレをネット販売する西野耕一郎さん(46、惣社)が2023年10月に結成した。今は6歳から70代まで13人の会員が毎月2回、市あがたの森文化会館や公民館で1時間半練習し、毎年6月開催の「あがたの森音楽祭」などの発表会に出演している。
ウクレレは誰もが簡単に演奏できる楽器。クラブでは、初心者でも西野さんの短い指導を受けるだけで全体の合奏に加わっている。
多くの会員が西野さん推奨のウクレレを使っている。それも技術とモチベーションの向上につながっているという。

奏法の基礎から初心者も大歓迎

「今日から新しい人が加わります」。6月20日、松本市第三地区公民館で行われた「あがたの森ウクレレクラブ」の練習会。主宰者の西野耕一郎さんが新顔の高梨宏子さん(67)を会員に紹介した。「全くの初心者ですが、よろしくお願いします」。あいさつした高梨さんを歓迎の拍手が包んだ。
この後、高梨さんは西野さんにウクレレの奏法の基礎を習った。西野さんは「リラックスして弾いてみましょう」と笑顔で語りかけた。
他の会員はジャズやクラシックなど弾きたい曲を合奏した。半数が高梨さんのような初心者だったが、練習を続けるうち全員が発表会で喝采を得るほどの腕前になった。
高梨さんを誘った吉嶋哲男さん(62)は入会1年。「以前は独りで弾いていましたが、仲間を求めて入会しました。みな家族のように仲良しです」

音と弾きやすさオリジナルに力

西野さんは愛知県出身。幼少からバイオリンやギターなど弦楽器に親しんだ。22歳で大手CDレコードチェーン店に入社。「多くの人に良質の音楽を」という理想を胸に仕事に没頭した。だが、次第に商業性を強める社の姿勢に疑問を持ち、30歳で退社。かねて希望だった海外生活へと旅立った。
渡航先はカナダとニュージーランド。名峰に登り、日々の仕事の合間にギターを弾いた。心が洗われ、多くの友人ができた。「自然の中に身を置くことも楽器を弾くことも、人生を豊かにする」と再認識し、「今後の人生のテーマは楽器だ」と決めた。
2年後に帰国。「山に囲まれ、楽器工房が多い」と松本に移住し、楽器店に就職した。ある日、楽器の展示会で試しにウクレレを弾いてみて、驚いた。「小さくて単純な構造なのに、こうも心を癒やす音を出すのか」
一念発起して独立し、ウクレレ専門のネットショップを始めた。国内メーカーのウクレレの他、音質と弾きやすさ重視のオリジナルのウクレレを松本周辺の腕の立つ工房に製作してもらい、販売した。
「生涯楽器を友としてほしい」とウクレレクラブも立ち上げた。会員4人でのスタートだったが、口コミなどで参加者が増えていった。吉嶋さんのように仲間を求めてきた人、独学で始めながら挫折した人、新しいことを始めたくなった人など動機はさまざまだった。
オリジナルのウクレレは、プロ奏者も愛用する。その一人、主に東京で活動する飯田柊哉さんは「いい楽器は演奏を重ねるごとにいい音を出し、いい音が演奏者の力量を上げる。西野さんのウクレレがまさにそれ。クラブの皆さんが向上心を共有し、長続きしている理由ではないでしょうか」と語る。
さて、初参加の高梨さんは1時間弱の手ほどきで人気曲「放課後の音楽室」を弾けるまでに。最後は高梨さんを交え、全員で「放課後の音楽室」を合奏した。高梨さんが「楽しかったです。次回の練習会にも来ます」と宣言すると大きな拍手。西野さんが温かい目で見守っていた。問い合わせはメール(info@cultivate-ukulele.com)か、インスタグラム(カルチベイトウクレレで検索)から。