この地ならではの研究成果発表 総文祭・自然科学部門に大町岳陽高科学部

大町市の大町岳陽高校科学部は、29~31日に秋田県で開かれる全国高校総合文化祭(総文祭)自然科学部門に参加する。昨年度取り組んだ生物分野の研究発表が県予選(昨年12月、松本市)で総合最優秀賞を受賞し、代表に。部員たちは「この場所にある高校だからこそできた研究」と言い、全力で成果を伝えたいと準備を進める。

光合成細菌に注目し実験

部員は7人。毎年一つのテーマを決め、協力して取り組む。植物の成長を促す微生物資材として農業に活用される光合成細菌の一つ「紅色非硫黄細菌」に注目した研究を、2024年度から継続。化学肥料の過剰施肥などが影響する水圏の富栄養化(窒素やリンなどの栄養分が海や湖などに過剰に流れ込み、水質が悪化する現象)を抑制する「脱窒」の働きなどを実験して確かめ、昨年度は「身近な場所に生息するのでは」という観点で研究をした。
昨年5月に大町、安曇野、松本市の水田、河川、湿地の計12カ所から土壌を採取し、11カ所から紅色の細菌を確認。大町市の水田から得た細菌は、民間の研究支援企業で分類的にロドシュードモナス属と同定され、資材に使われる菌株との一致が分かった。
同じ大町、安曇野市の水田で6月にも採取。サンプルを培養すると赤色化が遅く色が薄かった。除草剤が影響する仮説を立て実験、調査すると、使った2種類の除草剤は、細菌の増殖を大きく阻害しない結果が出た。
植物の成長への働きかけも調べ、遺伝子的に均一なコダカラベンケイソウを使った実験では、根の本数の増加促進に影響が見られた。

全国総文祭は物理、化学、生物、地学の計4部門で、各都道府県から研究発表に各部門1件、ポスター発表に部門を問わず1件が参加。同部は22~24年度に生物部門で連続参加した。10分以内の口頭発表と、4分ほどの質疑応答がある。
今回の研究成果に手応えはあったものの、「まさか県予選で初めての総合最優秀賞に選ばれるとは」と部長の冨山璃子さん(3年)。身近な場所に何度も出向き、観察から見つかった疑問を、科学的に調査する姿勢などが評価されたという。
全国には、冨山さんと副部長の川上巧真さん(3年)が代表して参加する。川上さんは「審査員や他校からは、鋭い質問もあると思う」といい、部員の意見も参考に質疑応答の対応に力を入れる。もう一人の3年生、青木綾音さんは「身近に田んぼや自然という教材があるからできる研究。この高校に入ったからこそ得た成果だと、誇りを持ち発表に臨んで」と仲間を鼓舞する。
「うまくいかない時にも、腐らずに前を向いて手を動かすのが部員たちのいいところ」と顧問の相馬真巳子教諭。活動場所の生物教室は、今夏も好奇心と青春の情熱に満ちている。