
重厚な作りの2個の木箱のふたを開けると、一つからは、クラシック音楽に合わせてタブレット越しに「黄金の妖精」が現れ、もう一つからは、県民にはおなじみの兄弟デュオ・狩人のヒット曲「あずさ2号」が流れてきた。
どちらも楽器製造メーカー・フジゲン(本社・松本市平田東3)が製造し、販売を始めたオルゴールだ。
黄金の妖精が飛び出すオルゴールは、「現代アート×オルゴール」と銘打ち、国内最大級のAR(拡張現実)美術館・安曇野ビンサンチ美術館(安曇野市穂高有明)とコラボレーションした。
「あずさ2号」が流れる方は、特急あずさ2号の復活を目指す松本市の市民団体「あずさ2号を復活する会」の要望を受け製造した。
心を癒やす効果があるとされるオルゴールに、新たな楽しみを加えた。
新たな表現加えた新商品製造
フジゲンがAR(拡張現実)美術館・安曇野ビンサンチ美術館とコラボレーションして製造した「現代アート×オルゴール」。
同美術館の館長、北山敏さん(77)は長年、コーヒーやスパークリングワイン、しょうゆなどの液体を顕微鏡でのぞき、その一端を切り取って、宇宙空間のような作品に仕上げる「ミクロ×宇宙」アートをライフワークにしている。
それらの作品を安曇野の自然をモチーフにしたCG作品などと組み合わせてAR作品に展開。
今回、2台のオルゴールに組み込んだAR作品は、スパークリングワインとしょうゆのミクロアートを基に作られており、専用のアプリが入ったスマホなどをふたの裏の絵にかざすと、オルゴールの音楽に合わせ、スパークリングワインからはフクロウなどが飛び出し、しょうゆからは黄金の妖精が天から下りてくるような画面が映る。
北山さんは「AR作品の可能性が広がったのでは」と評価。
オルゴールを企画したフジゲン安曇野第1営業・業務部の胡桃澤紀彦課長は「以前から現代アートとオルゴールの組み合わせが欲しかった。地元の作家の作品が使えてなおさら良かった」とし、「富裕層向けのカタログ商品として販売していきたい」と話した。
県誕生150年PR「あずさ2号」で
〽8時ちょうどの あずさ2号で―。
歌詞が県民によく知られている狩人の「あずさ2号」。この曲が挿入されたオルゴールには、鉄道や信州にゆかりの名曲も収められている。
昨年6月、松本市浅間温泉のホテル玉之湯会長で、「あずさ2号を復活する会」副会長の山﨑良弘さん(71)らが「『あずさ2号』でオルゴール曲が作れないか」とフジゲンに持ちかけた。ちょうど今年が「長野県誕生150年」でもあり、それらをPRする企画として実現した。
6月7日に大町市で開かれた狩人のスペシャルコンサートで、オルゴールを初披露。ふたの裏には狩人のほか、1984年当時の、実際に運行する特急あずさ2号の写真などがセットできるようになっており、来場者は「懐かしい」などと言って耳を傾けた。「県民を中心に販売できれば」と胡桃澤さん。
山﨑さんは「あずさ2号という曲がオルゴール曲として受け継がれるのは、素晴らしいこと。心に響く音色が曲と良く合う」と感激した面持ちだった。
この日初めて、オルゴールの完成を知ったという狩人。弟の高道さんは「今まで何千曲と歌ってきたが、あずさ2号が一番気を使う曲」。兄の加藤久仁彦さんは、この曲を愛する人たちに向け「これからもこの曲と共に、前向きに生きていってほしい」とそれぞれ話し、「8時ちょうどの特急あずさ2号が復活してくれれば」と口をそろえた。
オルゴールの問い合わせは、フジゲン安曇野第1TEL0263・81・1381