【醸す人々】#38 Tanomeワイナリー代表・古田学さん

無農薬栽培へのこだわり

塩尻市と辰野町の境にある霧訪山(きりとうやま)。その麓の集落に昨年9月に開いたTanomeワイナリー(塩尻市北小野)。代表の古田学さん(55)は、約10年前からワイン造りの道を志し、「自然派」に強いこだわりを持つ。「いつかは無農薬で育てたピノ・ノワールと自生の山ブドウで唯一無二のワインを醸したい」と大きな夢を追っている。
2015年4月に「ワイン造りの知識が全くない」状態で、親から引き継いだ千平方㍍の畑にメルローの苗木300本を植えたのがスタート。
当時は「慣行栽培で育てればいいと思っていた」ため、約2カ月後に農薬を散布。すると、葉の裏にびっしりとアブラムシが付いた。
予防医学の知識があった古田さん。この光景を見て「このまま続けたら、次々と薬を使うようになり、手放せなくなる」と直感。「環境を変えたり、苗木の力を高めたりしないと駄目」と思ったのが、無農薬栽培へのこだわりを持つきっかけだ。
それからしばらくは無農薬栽培に挑戦したが、「あまりにも難しかった」。約6年前、有機栽培として使用が認められている農薬、ボルドー液などを使って栽培し、約100㌔を収穫。同市内のワイナリーで委託醸造し、約100本を瓶詰めした。これが初めて世に送り出した「ファーストビンテージ」だ。
しかし、時間がたつにつれ、心にある感情が生まれた。ボルドー液を散布するとブドウは青白くなる。このブドウをワインを飲む人たちに「見られたくない」と。この「後ろめたい気持ち」を払拭するには「無農薬にするしかない」。21年から改めて無農薬栽培に挑戦している。
現在、手元には無農薬栽培のブドウで自家醸造した4種類のワイン計60㍑が仕上がっている。「『これが私の造ったワイン』。そう自信を持って言えるワインを造りたい」

【沿革】
たのめわいなりー 2025年9月、開業。現在、自己所有と借りた畑計8000平方㍍で4品種のブドウを栽培。霧訪山に自生している山ブドウの栽培も目指している。
【連絡先】
Tanomeワイナリー TEL080・9438・1971