
〝惜しみない愛情〟で育てた甘さ
夏といえば、やっぱりスイカ―。
松本市和田の「あぐり資材センター和田前広場」に、今年も「すいか村」がオープンし、連日多くの買い物客でにぎわっている。
今年のオープンは7月9日。以後暑い日が続いているが、営業が始まる午前9時前から連日、炎天下に100人を超える人が列を作る。土、日曜日には朝取れのスイカ約千玉が、昼ごろには売り切れてしまう。
「このスイカを食べないと夏が始まらないんですよ」。毎年、東京から通う常連客の言葉が、その人気ぶりを物語る。
全国に根強いファンを持つ、夏の信州を代表するブランドスイカ、「JA松本ハイランドすいか」。その味を支えているのは、生産者たちが一玉一玉に惜しみなく注ぐ手間と工夫だ。おいしさの源泉を追った。
授粉は一玉ずつ手作業で丁寧に
松本ハイランドすいかは、松本市波田、和田、新村、今井と山形村の火山灰土壌で栽培されるブランドスイカだ。水はけと保水性を兼ね備えた土壌に加え、標高600~800㍍の高原特有の昼夜の寒暖差、北アルプスの豊富な伏流水が、高い糖度とシャリシャリした食感を育んでいる。
ただし、品質を支えるのは自然条件だけではない。人が惜しみなく手をかけている。授粉は全て一玉ずつ手作業で行い、授粉日を記録。積算温度(栽培の目安となる、一定期間の温度を合計した値)などを基に最も食べ頃となるタイミングを見極めて収穫し、共選所へ運ぶ。
共選所では熟練の検査員による外観検査に加え、「内部品質センサー」で糖度や熟度、空洞の有無、果肉の色、変形などをチェック。糖度11度以上を満たしたものだけが「松本ハイランドすいか」として市場に並ぶ。
今年の出来について、すいか村村長の百瀬隆浩さんは「シャリシャリ感もしっかりあり、果肉も締まっていて、とても良い出来」と太鼓判を押す。
スイカ作りの作業は収穫のずっと前、2月中旬ごろから種まきが始まる。つるの誘引や芽かき、摘果を繰り返し、1本のつるに実らせるのは2玉だけ。受粉は雨の日でも欠かさず、カッパを着て一つ一つ行う。百瀬さんの畑では、多い日には約300玉を収穫する。朝5時から作業し、その日のうちにすいか村へ並べる。
「スイカはそのまま食べるものなので、お客さんの評価がストレートに返ってきます。『前よりおいしかった』と言ってもらえると、一番うれしいですね」と百瀬さん。
では、おいしいスイカはどう選ぶのか。「形が整い、皮の緑色が濃く、しまが出ていて、軽くたたくと弾けるようないい音がするものがお薦め」と語る。
松本ハイランドすいかは東京や名古屋、大阪、福岡など、全国へ出荷される。そこでは全国の有力産地との競争が待ち受ける。百瀬さんは「生産量では他産地に及ばなくても、品質で勝負できる自信がある。一玉一玉丁寧に育てたので、多くの人に食べて、喜んでもらいたい」と呼びかけた。
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すいか村は14日まで営業。時間は午前9時~午後3時(売り切れ次第終了)。3、4、10日は休み。問い合わせはJA松本ハイランド生活購買センターTEL0263・88・1224=平日のみ。ホームページはこちらから。