8日で415㌔ 過酷な登山走挑む消防士の中原隆浩さん

松本広域消防局塩尻消防署の司令補、中原隆浩さん(45、塩尻市宗賀)が、8月8~16日に行われる「トランスジャパンアルプスレース(TJAR)」に出場する。富山県魚津市から北・中央・南アルプスを縦断して静岡市に至る全長約415㌔、累積標高差約2万7千㍍のコースを8日間以内で駆け抜ける日本一過酷といわれる山岳レースだ。
TJARは2年に1度開催。体力はもちろん、3千㍍級の山岳で活動するための知識や経験に基づく判断力も求められる。食料や装備は全て自分で背負い、山小屋などでの宿泊や外部からの差し入れは禁止などのルールがあり、前回(2024年)は出場30人中8人がリタイアした。
中原さんは今回が2度目の挑戦だ。本大会に出場するには、書類審査を通り、選考会に合格し、さらに抽選で出場できる30人が選ばれる。24年は選考会に合格したが抽選で落選した。実力があっても、長年出場できない選手も多いという。
走るきっかけは、メタボリック症候群が気になり始めた40歳になる少し前。ランニングで30㌔ほど体重を落とした友人の話を聞き、「自分も」と一念発起。間もなくトレイルランニングに魅力を感じ、41歳で始めた。
TJARへの挑戦は、レースのテレビ番組を一緒に見ていた妻香奈さん(43)の「あなたにもできるんじゃない」の一言がきっかけ。歴代優勝者は消防職員が多いと知り「じゃあやってみるか」。とはいえ勤務形態が不規則なため、決まった練習メニューを組み立てづらい。距離は決めず、時間が取れたらとにかく走ることにした。
ルートを細切れで何度か試走する一方、松本マラソンや長野マラソンにも出場。東京から新潟まで全長516㌔を走る昨年の「日本横断『川の道』フットレース」では5位入賞。「富山や静岡の暑さは別物」といい、暑熱順化のためサウナに通ったり、発汗ウエアを着て走ったりする。
スタートは9日午前0時。まず目指すのは剣岳(2999㍍)だ。登山口から山頂に到る早月尾根は、北アルプス三大急登の一つ。「ロードを約30㌔走った後、一気に駆け上がる最初の難所」と中原さん。装備品の見直しやルート確認など「本番までやることは山ほどある」という。
目標は6日間で完走すること。「大会に出場できるのは家族と職場の理解があってこそ。感謝の気持ちと、出場できない選手の思いも胸に思い切り走ってきたい」