身近な雑草の機能美に焦点―大町山岳博物館でいがりまさしさん「ボタニカル・フォトアート」展

大町市立大町山岳博物館で9月13日まで、写真家いがりまさしさん(65、愛知県)の特別展「ボタニカル・フォトアートで見る雑草の機能美」が開かれている。

進化で得た合理的美しさ感じて

題材にするのはオオイヌノフグリやメヒシバ、ヤブガラシなど、庭先やあぜ道で見かけるなじみの雑草ばかり約30点。花びらや葉や茎を部分ごと高精細のアップで写し、1枚で植物の全体像が見えるようバランス良く配置している。普段見過ごしてしまう植物本来の「機能美」に焦点を当てることで、華美ではない雑草がアート作品に昇華している。
いがりさんは愛知県豊橋市出身。長年植物や図鑑の撮影に取り組み、2005年に発行した図鑑「日本のスミレ」(山と渓谷社)では、全国に自生する約150種のスミレの各部位をボタニカルアートのように写した新しい手法が「分かりやすい」と注目を集めた。今年2月には撮影、執筆、編集レイアウトまで自身で手がけた最新図鑑「日本のネコノメソウ」を刊行している。
同館の千葉悟志副館長は「身の回りにある植物や、嫌われがちな雑草にも美しさや不思議さを感じられるのがいがりさんの作品の魅力」と話す。展示室には「デジタル図鑑」を設置。植物に関する詳しい説明を読んだり、モニターで写真をアップにしたりして鑑賞することもできる。
写真家でありながら、実は音楽家の顔も持ついがりさん。作曲や、ケーナとリコーダーを融合させたオリジナル楽器「リケーナ」の演奏活動にも精力的に取り組んでいる。毎年7、8月に白馬村の白馬五竜高山植物園でストリートライブを開いていることもあり、その時期に合わせて同館で初となる作品展を開くことになった。展示室のBGMにもいがりさん自作曲が使われている。
「『分かりやすさ』を求めて始めた手法だがやってみると美しく、雑草もボタニカル・フォトアートにすると見栄えがするのは目からうろこだった」といういがりさん。「クローズアップしてみると、茎や断面は精緻な構造になっている。それぞれの植物が進化の中で機能を突き詰めてきた形であり、理にかなったものは美しい。そういう植物の機能美に目を留めてもらえたら」と話す。
午前9時~午後5時。入館料450円、高校生350円、小中学生200円。同館TEL0261・22・0211