
気軽に食べられるおはぎを
日常に気軽に食べられるおはぎを提供したい―。
素材にこだわったおはぎとコーヒーの店「ろはんのおはぎ」が、塩尻市大門一番町の市民交流センターえんぱーく1階にオープンした。塩原多美江さん(71、松本市)と長男の山田宣吉さん(49、同)が、親子で切り盛りする。
松本市奈川の杉を使ったカウンターが温かく来店客を出迎え。木曽で作られたすしおけや桐箱に、色とりどりのおはぎが整然と並んでいる。コーヒーは「おはぎに合う」といい、東ティモール産の豆を乗鞍高原の焙煎所から仕入れ、丁寧にハンドドリップで入れる。
長らく空きテナントだった場所に、3年半ぶりの入居。市立図書館や同センターの利用者らが、開店前から行列をつくるなど、地域の期待は大きい。
孫かわいがった母の味伝えたい
ろはんのおはぎを経営する塩原多美江さん、山田宣吉さん親子。多美江さんは名古屋市の自宅で35年間、珠算教室を運営した。
宣吉さんが子どもの頃、同居していた多美江さんの母瑞江さん(故人)が子どもたちのおやつやごはんを作っていた。宣吉さんの学生時代には、友人4~5人が泊まりに来ることもあった。そんなときは瑞江さんが張り切って買い物に出かけ、大皿いっぱいの唐揚げや串かつなどの料理を作って振る舞い、友人たちに大人気だったという。
「孫が大好きなおばあちゃんで、孫たちのために料理を作ることが健康の秘訣でもあった」と多美江さんは振り返る。料理の一つに、大皿に山盛りに作られたあんこのおはぎもあった。店の原点の味という。
宣吉さんはスノーボードのインストラクターをするため、2007年に大町市に移住。その後家族で松本市に移り、21年に多美江さんも合流した。懐かしい母の味を伝えようと一念発起し、同市大手4のパン店角松屋で、おはぎの委託販売を始めた。
地道にファンを増やし、23年には同市城東2に実店舗「ろはんのおはぎ」をオープンした。「ろはん」は「LOCAL HUNT」からの造語という。塩尻市のえんぱーく3階でも土日曜を中心に出店をしていた縁で今年6月、1階の空き店舗へ移転した。
「手に1個」から大量の注文まで
おはぎは十勝産の小豆を炊いたあんこ、黒ごま、白ごま、きなこ、青のりの5種類が定番で、季節限定品も出す。
来店した高木さよ子さん(塩尻市金井)は「あんこがおいしかったから次は白ごまときなこを食べに来た」。甘さ控えめで小ぶりなところが食べやすいと気に入っているという。
「おはなしなないろの会」の須澤隆子さん(78、同市片丘)は、市内保育園で絵本の読み聞かせをした後、仲間との打ち合わせに図書館を訪れた際、来店した。3階に出店していた時にも何度か買ったことがあり、「いつも並んでいるから買えてよかった」と、仲間のおはぎを一つ一つ選んでいた。
扉のないオープンな店舗のため「通りかかって、『手に1個載せてほしい』と言って買う人もいるんですよ」と多美江さん。「本を借りにきたついでに一つ」「交流センターでの会議に配る大量注文」「実家の母にお土産」など、暮らしの中で食べてもらっているという。
「もしおばあちゃんが元気なら今91歳。きっと張り切ってえんぱーくのカウンターに立ち、皆さんと会話を楽しんでいたと思います」と多美江さん。親子で毎朝、子どもから高齢者まで気軽に誰もが食べられるおはぎを心を込めて作り続けている。
営業時間は午前11時~午後6時。おはぎ1個130円、季節の味は200円前後。売り切れ次第終了だが、テイクアウトのコーヒー(400円)は時間いっぱい販売する。水曜定休。電話予約も受け付ける。TEL070・7570・0417。