【信大講座新聞をつくろう2022】 なぜ松本で?撮影誘致の舞台裏

松本フィルムコミッションに聞く

5、6月に相次いで公開された映画「流浪の月」「太陽とボレロ」は、ともに松本市がメインロケ地だ。見たことがある風景が映画に現れると、わくわくする。撮影に協力したのは、今年設立20周年を迎えた松本フィルムコミッション(FC)。なぜ松本で撮影されることになったかや撮影の舞台裏、FCの活動などを聞いた。

円滑な撮影実現に尽力 松本FCの活動と誘致決定まで

FCは、全国各地にある非営利の公的機関。映画、テレビドラマ、CMなど、あらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、スムーズな撮影を実現させる活動をしている。
松本FCは、松本観光コンベンション協会の事業の一つ。撮影地になることで期待されるのが、松本の知名度アップや観光客増加、経済効果などだ。松本FCも、これまで多くの撮影に協力してきた。
【撮影地決定の裏側】
「撮影地の決定には、さまざまな縁が関わっている」と、松本観光コンベンション協会事務局長の武井厚志さん(55)は話す。撮影地は、映画の制作部がFCに依頼して決まる。
「以前に松本に来た時に、風景が気に入った」「映画のイメージに合致する場所が松本だった」などが主な理由といい、制作部が撮影したい場所を決め、オーダーに合わせてフィルムコミッションが対応し、撮影の準備が進む。
準備は公開の1~2年前、あるいは、それより前から行われることも。ボランティアのエキストラの確保、撮影許可の手続きなどもFCの仕事だ。
【コロナ下での活動】
映画のロケ地になる経済効果は莫大だ。多くのスタッフが何日も泊まり込み、飲食店を利用することなどで1次的な効果が生まれ、さらに映画の公開後に観光客が増える2次的な効果もある。
しかし、新型コロナウイルスの流行で、撮影の中止や自粛が相次いだ。多くのスタッフが、先行きが見えない不安を抱いていたが、2020年5月の緊急事態宣言の解除で撮影が再開。「流浪の月」「太陽とボレロ」は、そのころ撮影された。
現場はコロナ対策を徹底し、休憩時間に取る食事も、全員が同じ方向を向いて座るなど、「人と人とのつながりが少なくなってしまった」と武井さん。一方で「コロナが終わったら、ロケ地巡りをしたい」という問い合わせも多いといい、終息後の観光客増が期待できるという。

街の魅力が伝わる喜び 松本FC・担当者らの思い

松本FCは、担当の室賀なつえさん(50)らと映画関係者とのつながりが深く、毎年多くの声がかかるという。
室賀さんは、撮影地が松本に決まった時、無事に全ての撮影が終わった時、実際に完成したものを見た時、映画を見て実際に松本に足を運んでくれた人がいた時─など、関わる全ての場面で喜びを感じている。
「完成した作品は、私たちの活動が形になったもの。それを見て、松本を訪れようと思った人たちの声を聞いた時に感じる喜びは、とても大きい」
武井さんは「松本で撮って本当に良かった」と言ってもらえた時が、うれしいと話す。「流浪の月」「太陽とボレロ」の両監督は、松本の人たちがとても温かく、撮影にも協力的でありがたかったと、口をそろえたという。
「風景や人など“松本”が認められた時に、とても誇らしい気持ちになる。やってよかったと、心から思える」
2人はともに市出身。“松本愛”にあふれる人たちの仕事が、地元の経済や観光に、大きく貢献していると言えそうだ。

【メモ】「松本を映画の舞台にすることで、その魅力を伝えたい」(室賀さん)と、松本FCはロケ地巡りをするファンや観光客に向け、歩いたりサイクリングをしたりしながらロケ地を巡れるマップを作成している。
昨年10月にはインスタグラムも開設。映画を入り口に、幅広い年代の人に足を運んでもらえるように、さまざまな切り口で松本を紹介している。マップは市観光情報センターや映画館などで配布している。

取材を終えて

左納孝樹(理学部) 今回、人生初の取材という体験を、しかも未知の分野についてさせてもらった。取材時に私の手違いで失礼があったが、許してくださった松本フィルムコミッションの方々やグループの皆さんに、お詫びとお礼を言いたい。
飯田萌花(経法学部) 限られた字数でうまく伝わるように記事を書くことが難しかった。また、取材をして人の話を聞くことの楽しさを、改めて学べた気がする。自分の知りたかったことを実際に聞いて学ぶことができる、とても貴重な経験ができた。
武藤篤史(経法学部) 新聞を作る側になり、読み手に正確に情報を伝えるための工夫や努力があることが分かった。また、作る上で気を付けなければならないことが多く、大変だった。取材を通じ、自分の興味を持ったことを深く掘り下げることができ、とても貴重な経験だった。
平林大知(工学部) 取材をし、新聞を作る際の情報収集の大変さを知った。フィルムコミッションについては聞いたことはあったが、映画撮影を裏でサポートする業務の重要さが分かった。文章の書き方も、これからに生かせる内容が学べて良かった。
松本琉聖(工学部) 最近は新聞に触れる機会が少なく、インターネットで情報を得ることが増える中、貴重な体験ができて良かった。新聞製作の大変さを、身に染みて感じた。学んだことを生かしていきたい。