【亜矢子先生に聞いてみよう!】#30 あいさつができません…

Q うちの子は人と会ってもあいさつができません。親としてどうしたらいいのか、このままで大丈夫かと心配です。(小学1年女子の母)

大人自ら笑顔で子は学(まね)ぶ

A いつだったか「街頭指導で立っていたら、あいさつをしない子が何人かいた。学校で指導してほしい」と聞いたとき、いろいろな意味で考えたことがあります。「子どもがあいさつするのは当然」なのかなと。
私は教員時代の途中から、授業の始まりと終わりの「全員起立!礼!着席」をやめました。教室に入る時に「お願いします」、出る時は「ありがとうございました」を私が言えばいいかなと。子どもたちの出席状況と全員の表情の確認はしましたが、生徒が着席のまま授業に入るスタイルは個人的には気持ちも時間もスムーズ、生徒たちも問題なしでした。
退職後は5年間、「安全見守り隊員」の緑の帽子をかぶって子どもと一緒に小学校近くまで歩きました。朝の光を浴びたり、雨の日のカタツムリの大群や冬のカーブミラーを飾る雪の結晶を楽しんだりしながらの幸せな日々の中、あいさつは自分からしました。
なぜか?私がしたいからです(笑)。だから求めない。声をかけるとうつむく子もいましたが、徐々に笑うようになりました。顔が分かると安心しますからね。「あいさつすべき」な社会通念が、その子を苦しめ自己肯定感を下げるくらいなら、無理にやらせなくていい。大人たちが自らあいさつする姿を見ているうちに、いつか自然とできるようになることを、多くの子を見て知っています。
「あいさつするものだ」と強制的に型から入るのも時に悪くはないけど、まだ幼いお子さんの心がついてくるのを今は待っても大丈夫だと思いますよ。ただ親は、わが子に願う理想のあいさつ(相手の顔を見て笑顔でなど)を実践してみて。
今、お子さんはさまざまな大人の様子をじっと見て感じながら成長しているところ。子どもは大人の姿から「学ぶ(まね・ぶ)」のですから。(小島亜矢子一般社団法人こどものみらい舎代表)