Q 小学校に入り数カ月、わが子はひらがなも書けません。ノートに練習させるのですが嫌がります。この先を思うと本当に悩んでしまいます。(小学1年男子の母)
何度も書くより自分の脳で「覚える」
A 数年前、同じく小学1年生の男の子が、塾の待合室でお母さんと宿題をしていました。「もう半年たつのに、まだひらがなが書けなくて。家に帰ると嫌がるから、ここでやらせています」と。
のぞいてみると、「あ」を何度も書こうとしていました。でも覚えられず、うまく書けなくて、お互いにイライラしているのが分かりました。そこである方法を伝えたところ、ほんの1分ほどで彼は「あ」が書けるように。お母さんも驚いていましたが、何より本人のうれしそうな顔!
「次に来た時に、また『あ』を書いて見せてね」と言った翌週、「先生、見て!」と言って、「あ」だけでなく「を」(これ、すごく難しい!)も書いて持ってきてくれましたよ。では、その方法をお教えします。
(1)親が、はがき大の紙に太く丁寧に「あ」を書く(印刷でも可)。
(2)お子さんは、それを見てから目を閉じる。
(3)頭の中で書いてみる(できれば書き順通り)。
(4)書けなかったところを確認するために目を開ける。
(5)目を閉じる。頭の中で完成するまでこれを繰り返す。
(6)「覚えた」と思ったら実際に書く。
直線と曲線が入り交じるひらがなは、簡単なようで実は難易度が高いのです。「字はたくさん書けば覚えるだろう」と考えがちですが、それってただ写しているだけなのです。
自分の脳で「覚える」練習に変え、何度も書く時間を次の学習に充てたい。以前にも伝えましたが、発達段階は人それぞれで、低学年では特に個人差が大きい。「覚えないと困る」「宿題だから提出しなければ」という気持ちは分かりますが、学習嫌いにさせないためにも先生と相談しながら、お子さんに合った学習方法を見つけてくださいね。(小島亜矢子一般社団法人こどものみらい舎代表)